CB750Fの純正カシメ、リアショック

 カシメショックの組み立て作業の高品質化

 久しぶりに真面目にリアショック話題を書き記します。

 CB750の純正リアショックを依頼ただきました。これはカシメと呼ばれる金属を折り曲げて形を作るダンパーです。一度分解すると組み立てが困難であり、一般にはオーバーホール不可と言われる品です。九州に一件再カシメを行うショップがある様です。ただし、これは断言しておきますが、日本において商業ベースでこの手法を確立したのは間違いなく当社です。表に出ない範囲で再カシメが行われていたかは判然としないためあえて「商業ベース」と謳っておきます。

 私の父が言うには「真似される技術は秀でた特別な技術力では無い」との教えから、他社に真似される事はなんら厭わないのです。

 重要な点

 このリアショックは伸び、圧の減衰調整があり古い品ですがかなり頑張って造られたと感じます。基本構造は普通の複筒式ですから性能面での特別な長足はありません。気になる点は細い棒(ロッド)を保持するロッドガイドと呼ばれる部分に、ベアリングが無い事です。
 その理由はロッドガイドが焼結剤と呼ばれる金属粉を焼き固め、多くの孔を持った部品であるため、オイルに浸るとそれだけで潤滑性が高まりドライベアリングを必要としないからであります。しかしながら現実には金属同士の摩擦は起こり、ドライベアリング有りよりも寿命は短い様です。

 そこで私はここを旋盤で加工して、ベアリングを圧入し長寿命化を図ります。そうは言っても圧入の誤差で許される範囲は0.05mmです。下手な技術と道具では加工は不可能で、数多く部品を作り慣れているため問題なく切削できますが、加工を失敗し部品を一から作り直した事もあります。

 今回は部品二つともに1/100mmの隙間寸法に仕上げました。かなり良い設定です。2/100mmともなると「ガタ」と形容できるほど部品が揺れます。もちろん量産メーカーの誤差はもっと大きいので致命的な問題にはなりませんが、たった1/100mmが大きな違いを生み出します。

 組み立ては、実は簡単

 このカシメ型ダンパーは、再カシメさえ出来ればそれほど組み立ては難しくありません。オイル量とオイル粘度だけ間違えなければ良いのです。しかし、何か一つ間違えば分解は大きな手間と代償を払う事になりますから、慎重に進めなくてはなりません。

 と言うわけで無事に完成しました。一安心です。

 

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