CBR1000RR-R/SPの試乗動画
CBRを試乗した印象を動画で話しています。
このブログでは要約して説明差し上げますと、純正のサスセットはリアの車高が極めて高く、サーキットであろうが街乗りであろうが全く良い部分を「私には」感じ取れませんでした。
個人の感想・・・などと言い訳をする気はございません。動画よりも影響力のないこの場の勢いもあり、遠慮会釈なく吐露すれば良い面を見つけられませんでした。無意味に高いリアの車高により、十分に動かないリアショック。反対に重量が載り柔らかく感じてしまうフロントフォーク。
街乗りを無視したスーパースポーツであったとしても、前後の車高が合っていなければ十分な旋回性は発揮されません。
リアのローダウンリンクを取り付けた状態で走行したところでは、ややリアの低さを感じつつも純正より車体を動かしやすくなります。
純正のリアショックは車高調整機能が足し引きできる良い調整位置にあります。0点から±できるのです。スプリングイニシャルも引ける位置にあります。つまり全体としてリアを低くできる設定なので、ホンダはリアの車高が高過ぎると自覚しているのかもしれません。
車高を整えるとガラッと印象が変わり、乗りやすいバイクになります。経験と技術を持つメーカーは狙わない限り、変な設定の車両を作る方が難しいはずです。基本設定を間違っていなければ、前後ショックの仕様変更など造作もない事ですから、良質な旋回性を持つ楽しいバイクに仕上げるのは難しくなりません。
一番気になるのは、メーカーが車両を作る基準はどこにあるのか。その点です。多様な要素を盛り込み、安全基準等を満たすのは容易ではないと少しは察しますが、それにしても各メーカーの初期設定には疑問符を突きつけたくなるのも事実。文句を言ったりバカにする気は毛頭ありません。ただ、メーカーの基準とは?を模索し納得できる答えを探してみます。
その他にはライディングポジションに対する疑義もあります。異様に開いたハンドルがそれです。強力な減速に耐えるために幅広なハンドルが有益なのは十分に理解できますが、あまりに開いており15分程度の試乗でも疲労を強く感じます。
極めて高い位置にあるステップバーは、深いバンク角を確保するというお題目があるなら理解できます。しかしハンドルの開き角は理解に苦しい。マルク・マルケス選手がそのようなポジションを好むからと、疑いを持たずにそのまま採用した。と邪推したくなります。
厳し事を連ねましたが、税抜き250万円以上もする車両であれば車両運動や乗車姿勢という極めて基本的な部分くらいはしっかりと造って頂きたいと感じました。
エンジンの出力特性も6千回転から排気バルブが急激に開き、ターボエンジンのような扱いずらさがあります。これはモード設定で変更できるかもしれませんから、次回の試乗で試してみます。
ですが、先述の様な特性を設定することの意味はどこにあるのか?かつての2ストロークを彷彿とさせる演出のためかもしれません。私にはチープトリックに思えますが、楽しめる方がいるとすれば面白い演出とも言えます。初心者が乗る事を意識するならもう少し穏やかな出力特性が望ましいと感じました。モード設定でアヴァンギャルド(前衛)とかファン(お楽しみ)ライドにして選択肢として加えておくなら、面白そうです。
という事で厳しい事を多く書きました。では良い面はないのか?と問われれば、あります。それは前後ショックの動きはとても良い。スプリングレートもフロントはやや硬いのですが、減衰設定とイニシャル量、トップアウトスプリングとの兼ね合いなどが良い状態です。リアショックも車高を変えて行けば動きがよくなり、大きな設定変更を必要としないと思います。
ポジションは酷評しました。しかし、それは改善すれば相当に高水準な車両に仕上がると確信しています。ハンドル開き角の適正(乗り手に合わせる)化とステップ位置をやや下げ、楽に体を動かせる様にして、前方に行き過ぎないようタンクカバーで補正するなら楽しくなりこと請け合いです。
ステップが上にあるとバンク角は大きく取れます。これは良い点です。ただし、ステップとシート座面が近い場合、当然足の曲げはキツくなります。そうなると下半身への負担が大きくなり、体を鍛えていない一般ライダーは負担が大きくなります。
この事は深く腰を落とした状態から立ち上がるのか、少し腰を落とした程度から立ち上がるのか。これを試せば足の負担は理解いただけます。サーキット専用の車両ではありませんから、この部分を考慮しステップ高を決める必要があるはずです。件のCBR1000RR-R/SPはスポーツライディングに焦点を定め、街乗りやツーリングは考慮しない高さです。それ自体は割り切った仕様として好感が持てます。
疲労が気になる方は何らかの手段でステップ位置を下げれば、かなり快適になるはずなので一考ください。
ローダウン化を終えたら、前後ショックの作りや乗り味の更なる上質かについて書き記しますので、気になる方はまたご覧ください。
※長文のため確認不足による誤字脱字があるやもしれませんが、容赦ください。