CBR1000RR SC57の試乗

 先週の土曜日はポールスマートと同時にCBR1000RRの納車もありました。

 メンテナンスを終え早速試乗を行ったところ、極めて安定感の強い車体だと感じました。入庫時の足回りが純正状態かは不明ですが、フロントは柔らかく、反面リアは粘りを前面に出したセットです。200km/h以上での安全性を強く考慮に入れた、落ち着きのある仕上がりに悪くないと感じましたが、この車両は街乗りからツーリング先の峠道を軽く走るようにしたかったので、全体を少し変更しました。

 具体的な内容ですが、フロントは柔らかくないのに沈み込みが大きく、リアはあまり動きを感じさせない状態でした。これによりリアに軸のある車体で、ネイキッド並みかそれ以上の安定性があるような感触です。これをもとに、リアにある軸を前へ移し軽さを出しました。それには、リアダンパーの伸び減衰を1/4回転抜いて対応したのですが、それでも若干軸を後ろに感じたので、フロントのイニシャルを1回転かけ軸を前へ移したところ、かなり感触が良くなりました。すると今度は軸が前へ行き過ぎたようでした。そのためリアの伸びを強め、最終的に元の状態よりも1/4回転強める結果となりました。これで狙い通りの軽さと、軸の位置を得られました。入庫状態のジットリした感触から、スルッと動く街乗りで楽しい仕上がりにできたと思います。

 仮にイニシャル(プリロード)を変更するとそれに伴い、狙っていないところも変化します。わかりやすい例を挙げれば「イニシャルを掛けると沈み込みずらくなるので、圧減衰を抜く」ような事です。そのため、セットを変更した時は各部の変化を考慮したうえで、話を進めます。ここにその流れを書くと煩雑になるため、割愛しています。ご自分で変更するならば、その辺りも考慮して楽しんでください。

 ここ最近はセッティングを行う際に、曲がり方やダンパーの動き方を考えるのではなく、直進からブレーキを強くかけたり弱くかけたりして、バイクの回転軸(ピッチングセンター)が何処にあるかを極めて詳細に分析しています。その軸位置とフロントの沈み方、リアの持ち上がり方をコントロールすれば殆どセットアップが終わったといえます。その後旋回中の動きを分析し、再度微調整を行います。この手法でセットアップを進めれば短時間でベースセットを完了できます。興味ある方はご自身でも試してください。

 

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