CRF450Rのフロントフォーク、現状把握と基本設定
CRF450RのフロントフォークセッティングとLGN Versione Corsa開発記録
今回、CRF450Rのフロントフォークのセッティングを担当するにあたり、既にスプリングと台座が交換されていることに気づきましたが、減衰力や車高はノーマル状態である点は個人的には好都合でした。理由として、元の状態に戻す手間が省けるためであり、特に開発中の「LGN Versione Corsa」において、スプリングのみでどこまで設定を詰められるかが重要な焦点だからです。
1. モトクロッサーにおけるフロントフォークの進化
近年のモトクロッサーでは、スプリングによる加圧機構が採用されることが多く、この加圧を調整することで、低速域でのダンパーの作動性をより細かく調整することができます。今回のCRF450Rでも、この特性を活かし、バネのみでの設定をどこまで突き詰められるかを試行錯誤する作業がメインになります。
過去のモタードやモトクロッサーでのセッティング経験が、今回の開発に大いに役立っています。特に10年前のモタードS1プロクラスの前後ショックを長年手がけた知識と技術が、今回のVersione Corsaの開発に活かされることになりました。
2. スプリングとストロークのバランス
今回のフロントフォークセッティングにおいて、最も重要視しているのは「どんなバネを、どのように使うか?」という点です。しかし、バネのみならず、「ストロークをどう活用するか?」という観点も欠かせません。フロントフォークの設定を進めるにあたり、バネとストロークの調整を同時に行うことで、走行性能を最大限に引き出すことが可能です。
20年以上前からモタード車両に乗り始め、KX250やYZ-F426、そしてKX80といったモトクロッサーやモタードでの豊富な経験が、今回のCRF450Rの開発に大いに役立っています。
以前所有していた、モタード車両の振り返りとして購入した、前後ショック改造の実例CRM250AR
3. フロントフォークの「油面」の重要性
さらに重要な要素として、「油面」の調整があります。油面は、バネの作動性やストローク全体のバランスに大きな影響を及ぼします。過去の文献やデータでは、油面調整がセッティングの成否を左右することが示されています。したがって、これらの数値データを参考にしながら、自身の感覚と合わせて細かい調整を進めることが必要です。
4. モタードの難しさと楽しさ
モタード車両は、モトクロッサーの基本姿勢を崩し、バランスを再調整することが求められるため、セッティングが難しい分野です。しかし、この挑戦こそが、バイクセッティングの奥深さであり、車両本来の能力を引き出すための技術力が試されます。今回はフロントフォークを中心に作業を進めましたが、リアショックの調整も同時進行中であり、さらなる改良の可能性が残されています。
5. 経験を生かした開発
以前、桶川でS1クラス用のYZ-F450を走らせた時も、前後ショックを弊社で改造し、その乗り心地に非常に満足した記憶があります。現在のCRF450Rも、基本性能が非常に高いため、車高や基本設定を見直すことで、さらなる向上が期待できます。
Versione Corsaがどのように進化し、1年後にどのような形で完成するのか、今から楽しみで仕方がありません。
6. 今後の展望
今後もフロントフォークのストローク、バネ、油面などの設定を詰めることで、バイクの走行性能を極限まで引き出すことを目指しています。また、リアショックについても、同様にさらなる改良を進めていく予定です。今後の作業進捗については、逐次報告いたしますので、どうぞお楽しみに。