M1000XRのフロントフォーク 新車でも組付け誤り

新車フロントフォーク内部で“軽微だけれど無視できない”不具合を発見しました

目的はメーカー批判ではありません。
「量産・手作業ゆえに新品でも起こり得る小さなズレがある」――その事実を共有し、整備(分解点検・再組立)の重要性を一般ユーザーの方にも知っていただくためのレポートです。

 


見つけた問題点

  • 電子制御側フロントフォーク内で、スプリングシートの座金(ワッシャー)がトップキャップとナットの間に“噛み込み”。
    • その結果、本来あるべき位置から僅かにズレ、プリロード量や作動初期のスムーズさに悪影響を及ぼす可能性があります。

なぜ起こるのか?(推測)

S1000系だけでも100本以上、同構造のS12系まで含めれば多数のフロントフォークを分解してきた経験からの推測です。

  • 大量生産ラインではフォークの最終組付けは人の手で行われることが多い。
  • スプリングの隙間から薄いスパナを差し込んでナットを締める手順が一般的で、実際にナットの当たり面が傷んでいる個体が非常に多い
  • 年間「数万本」単位を組む現場では、1本1本を時間をかけて微細確認するのは現実的ではない
    → その結果として、座金の噛み込みやわずかな組付け誤差は一定確率で混入し得ます。

もし噛み込んでいたら起こり得ること

  • プリロード値が“数クリック分”ずれる(=マニュアル通りに合わせても左右差が生まれる)
  • 作動初期での引っかかり感/異音(微小ストロークで違和感)
  • 電子制御の減衰マップは正常でも、メカ側が正しく動いていないため「設定の割に突っ張る/沈み過ぎる」などのフィーリング差が出る

“新品を信じ切らない”という整備視点

  • 新車直後~初回O/H前でも、一度フォークを開けて基準値を“ゼロリセット”しておくと、その後のセッティングがロジカルに進めやすくなります
  • とくにサーキット走行/スポーツライド志向の方、ローダウンやスプリング変更を前提にしている方は、最初の分解点検で土台を整えることを強く推奨します。

当社で行うチェック例

  • スプリングシート/座金の正規位置確認と再組付け
  • プリロード実測(自由長・イニシャル量)と左右差の補正
  • 減衰調整域の“実効ストローク”確認(ダイヤル位置と動きの対応付け)
  • ブッシュ摩耗・オイル汚れ/泡立ちの有無
  • 電子制御モデルは電気的・油圧的応答の整合も確認

まとめ

  • 量産品ゆえの**“ごく小さなズレ”は新品でも起こり得る**。
  • ハイグレードな電子制御であっても、メカ側の初期誤差が残っていれば性能を出し切れない
  • 「まず基準を正しく整える」ことが、セッティングを速く・正確に進める最短ルートです。

ご相談・点検のご依頼はこちら(※固定・変更不可)

電話:090-1696-3239
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「自分のS1000系(S12系)も見てほしい」「プリロード左右差が気になる」など、症状や目的を一言添えてご連絡ください。最適なメニューをご提案します。

 

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