MONROE・モンローのリアショックをオーバーホール、二度目の挑戦
アメリカのショックメーカー、モンローのダンパーをオーバーホールしています。
このショックは溶接で組み立てられており、分解も厄介ではありますが部品の肉も薄く、加工も難しい製品です。
数年前に再現性の低い手法で加工を施し、何とか形にした経験がありそのブログを御覧頂いた方からの要望で、今回もO/Hに挑戦することとなりました。
思い出話ではありますが、開業当初にも依頼があり分解の際に壊して戻せなくなり、デッドストックの品をヤフオクで購入して弁償した苦い記憶があります。
そういった面から今回も納期は設定せずに金額もかなり高額なのを伝えましたが、それでも依頼したいということで受け付けました。
問題の溶接部分はこちらです。
これを切り離すとオイルシールなどが現れます。分解は簡単ですが、使えるように戻すのは難儀します。先ずはショックの長さが変わっては、車両の運動性が大幅に変化するので容認出来ません。
一番重要なのは長さ変化を起こさない様にすること。その次に分解組み立てが容易で、安価に実現できることです。
今回の依頼では性能を重視したため再現性の高い手法を採用しています。
何が一番めんどかと言えば、採寸後に図面を引く作業です。オイルの流路を確保しつつ、部品を保持するのは意外と大変です。こういう時はメーカーの設計者の苦労が少しは身に沁みます。
上の写真は流路を確保するため、一部切り欠きを設けたロッドガイドです。ツインチューブ型(KONIに代表される2重管)はガイドブッシュがあまりにピッタリだと問題が発生する場合もあり、ダンパ本体の造りを入念に確認し、設計に反映しなくてはなりません。
幸いにしてこのモンローは初回の組付けで問題なく動作したので助かりました。
ボデー、スプリング、アジャスタの塗装に部品制作やロッドの再メッキを含め、今回は税抜きで27万円弱でした。
11月からロッド再メッキも値上がりし、全体的に価格が上がっていますがその中でもモンローの様に作り物が多い依頼は高額になりがちです。
旧車に似合う当時のリアショックをどうしても使いたい場合には有効な手段となりますので、困っている方は一度検討していただければ幸いです。