MT-09の前後ショックO/Hとセッティングについて

MT-09 前後ショックオーバーホールとスプリング交換後のインプレッション

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MT-09は、その軽快な操作性と強力なエンジンで多くのライダーに愛されているバイクです。しかし、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、サスペンションの調整が欠かせません。今回は依頼いただいたMT-09の前後ショックのオーバーホール(O/H)およびスプリング交換を実施し、その後の試乗で得られた印象を詳しくご報告いたします。

価格の概要

前後ショックの脱着、O/H、スプリング交換、セッティングなどを含め概ね20万円でした。

リアショックの変更点

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まず、リアショックに関してはスプリングの長さを短くし、プリロード(イニシャル量)の調整幅を広げました。この調整により、より細やかなセッティングが可能となり、ライダーの好みに合わせた微調整が実現しました。また、スプリングの変更により、リアの安定感が増し、バイク全体のバランスが向上しています。

フロントフォークの変更点

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次に、フロントフォークのスプリングを0.7Kから0.9Kへと交換しました。この交換により、フロント動きが抑制され、より積極的なライディングが可能となりました。また、変更した油面との相性も良く、ブレーキング時の挙動がしっかりと安定し、深く握り込んだ際にも確実にサスペンションが機能している感触が得られます。

試乗印象

フロントサスペンション

試乗した結果、フロントサスペンションの動きは非常にスムーズで、油面と新しいスプリングの相性も抜群でした。ブレーキング時にしっかりと奥まで入っていく感覚があり、限界まで追い込んでもサスペンションが安定して機能する様子が伺えます。ただし、もう少し油面を上げることで、さらに安定感が増すと考えられ、追加で油面を上げる調整が理想的と感じました。

一方で、一般的なライダーにはこのセッティングでも十分であり、バネ定数も適切であると判断しました。これ以上の調整は、MT-09の基本設計から外れ、車両の使い方が峠道やサーキットなどに限定される可能性があるため、慎重な判断が必要です。

リアサスペンション

リアに関しては、短いスプリングを採用し、プリロードを最弱に設定した状態でも十分な動きを感じました。このことから、スプリングレートを0.5K~1K程度下げることも良い選択肢となり得ると考えられます。リアサスペンションは非常に良質で、バイク全体の安定感に寄与していることが確認できました。

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さらに改善するためには、スプリングをさらに短くするか、スプリングシートを低くしてプリロードの調整幅を増やすことが考えられます。減衰設定に関しては、圧側16戻し、伸び側11戻しの状態で問題なく、スプリングが適切であれば、減衰調整も現状で十分に機能するものと考えられます。

総評

今回のカスタマイズを通じて、MT-09は非常にバランスの良い仕上がりとなり、より楽しいバイクに生まれ変わりました。特に、軽量でコンパクトなエンジン特性が、ライディングの楽しさを一層引き立てています。試乗後に乗った他のバイク、例えばMT-10と比較しても、MT-09の軽快さと俊敏さが際立って感じられました。

正直、MT-09はセッティングの難しい車両です。フロントのフォークのスプリングレートをどの程度にまとめるのか?そしてスプリングイニシャルやレートを含めたリアの車高。この2点が肝要です。

他に気になった点として、アクセル開け始めの唐突感がやや強い印象がありましたが、これはアクセルワイヤーの遊びを極力ゼロに調整することで改善できると考えます。また、前後の車高については、プリロード調整で十分対応可能であり、フロントフォークの突き出しを変更する必要はありませんでした。

今回のセッティングにより、MT-09はさらに魅力的なバイクとなり、様々なシーンでライディングを楽しめる一台に仕上がりました。今後もカスタムやメンテナンスに関するご相談がありましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。経験豊富なスタッフが、お客様のご要望に応じた最適なプランをご提案いたします。

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