NISSAN Z31の純正電制ショックの分解
目次
- 主題:日産フェアレディーZ31の純正電子制御ショックオーバーホール(O/H)
- 作業内容:溶接組み立て型のショックを分解・寸法測定
- 溶接部分を削り、ショックを分解して内部を調査
- 40年前の未分解部品で、オイルは劣化していた
- 精密な測定と部品製作を進め、分解可能な仕組みに改良
- 消耗部品やオイル交換により、乗り心地が大幅に向上
- 図面作成完了後、部品製作、組み立て、動作確認を実施
- 修理は直接依頼不可、車屋を通じて対応
- 金額は60~100万円
日産フェアレディーZ31 純正電子制御ショックO/Hの作業詳細
今回は、日産フェアレディーZ31に搭載された純正電子制御ショックのオーバーホール(O/H)作業について報告します。Z31は1980年代の名車として多くの愛好家に支持されていますが、40年以上が経過し、足回りにも劣化が見られるようになっています。特にショックアブソーバーは経年劣化により性能が低下し、快適な走行性能を取り戻すためには、O/Hが必須となります。今回はそのショックアブソーバーを分解し、再構築するプロセスについて詳しくご紹介します。
1. 溶接組み立て型のショックを分解する難作業
Z31の純正電子制御ショックは「溶接組み立て型」という構造を採用しており、分解するためにはまず溶接部分を削り取る作業が必要です。この溶接を削り取る作業は、非常に精密さが求められる上に、ショック全体の構造を損なわないよう慎重に進める必要があります。特に電子制御が絡んでいる部分に関しては、破損のリスクを避けるために経験豊富な技術者による作業が欠かせません。今回も時間をかけて慎重に作業を進め、無事にショックの分解を完了しました。
2. 40年分の劣化と内部調査
このショックは、40年前に製造されたものですが、一度も分解された形跡がなく、内部のオイルはかなり劣化していました。オイルの変色や粘度の低下が確認され、スムーズな動作には程遠い状態。さらに内部の消耗部品も摩耗しており、快適な乗り心地を提供できる状態ではありませんでした。このような状態では、車両本来の走行性能やハンドリングが大幅に損なわれるため、部品交換とオイル交換が不可欠です。
また長期間の使用でバンプラバーが破損し、内部の部品同士でメタルコンタクト(金属接触)が発生し、部品が変形していました。この変形した部品は複筒式のベースバルブで、圧減衰を発生させつつ伸び工程の動きを妨げないようにするチェックバルブ(一方向弁)です。変形により正常に機能しなくなっており、分解修正を行い問題ない動作を確認しております。
上の写真は修正後
3. 精密な寸法測定と部品製作
ショックの分解後、内部の各部品の寸法を精密に測定しました。特に電子制御機構が絡むため、通常のショックよりも複雑な構造を持っていますが、これらすべてを測定することで、今後の組み立てに向けた部品製作を進めることができます。また、単なるオーバーホールにとどまらず、今後も継続的にメンテナンスを行えるように、今回のショックを「分解可能な構造」に改良する計画を進めています。これにより、将来的な仕様変更や乗り心地の調整が容易に行えるようになります。
4. 消耗部品とオイルの交換による効果
今回のオーバーホールで注目すべき点は、消耗部品やオイルを新品に交換することで、車両の乗り心地が大幅に向上することです。特に、経年劣化したオイルを新しい高性能オイルに交換することで、サスペンションの動作がスムーズになり、ショックが本来持っている性能をフルに発揮できるようになります。結果として、Z31が持つスポーティな走りと快適な乗り心地を取り戻すことが期待されます。
5. 図面作成と部品製作
分解と測定作業が完了した後、各部品の図面を作成し、必要な部品の製作を進めています。これらの部品はオリジナルの設計に忠実でありながら、現代の技術を取り入れて精度を高めたものになります。これにより、長期的に信頼性の高いパフォーマンスを維持することが可能です。図面作成と部品製作が完了次第、次のステップである組み立てと動作確認に移ります。
細かい部品ではありますがリバウンドストッパー(ショック伸び切時の衝撃吸収用部材)が一本は破損し粉々になり、一本は崩壊が近いため割れない材質で造りなおしております。
6. 修理の依頼方法と価格帯
今回のようなショックのオーバーホール作業は、個人からの直接依頼は受け付けておらず、車屋さんを通じて対応しております。このプロセスを通じて、依頼主と円滑にやり取りを行い、スムーズな作業進行が可能となります。また、作業の規模や部品の交換内容によって金額は変動しますが、市場価格としては60万円から100万円程度を目安にお考えください。ショックの仕様やオプションによって価格が上下しますが、その分、車両の性能向上に見合った結果が得られることでしょう。
7. 今後の展望
現在、部品の製作が進行中であり、完成次第ショックの組み立てと動作確認を行います。今回のオーバーホールによって、フェアレディーZ31の乗り心地や走行性能が大幅に改善される見込みです。また、分解可能な構造に改良されたことで、今後の仕様変更や再オーバーホールの際も容易に対応できるため、長期的に愛車のパフォーマンスを維持していけます。
日産フェアレディーZ31のショックオーバーホールは、40年前の技術と現代の技術を融合させ、長期的な走行性能を確保するための重要な作業です。ショックの消耗は、車両全体の性能や乗り心地に直結するため、定期的なメンテナンスが欠かせません。今後も、このようなオーバーホール作業を通じて、愛車を長く快適に乗り続けるためのサポートを提供していきます。