シム組を考える
バイクの乗り味を決める決定的な要素は何かと問われれば、それはエンジンだと答えています。
エンジンの形により、使い方(スーパースポーツやツーリング)とフレームを決め、そこからタイアやサスペンションが決まります。
しかし、車両を構成する部品で簡単に変更可能なのは、ばねを含むダンパーであり、結果的に一般の領域ではそこが重要視されます。サスペンションの役目は衝撃吸収が主になりますが、他方で操縦性を決定づける姿勢制御と荷重制御も同様の比率をもって大切だと考えています。
姿勢は本来車両メーカーが決めますが、突き出しや車高調整機能を持って変更は可能です。それらの前提を全て整えた後に、やっとダンパーの改造、減衰特性の変更が意味を持ちます。
先日のMT-07を題材にしたお楽しみ会(試乗会は)シム組に対する考えを、より深い領域へ移行するきっかけとなりました。体で感じる部分がどこにどれだけ影響しているのかや、グラフデータと照らし合わせ体感とのずれを知り、ついつい話が長くなり、午前11時から始まった試乗が夜の10時近くまで続きました。そのお楽しみ会を振り返り、自分のシム組の問題点に加え、セッティング方法の良い点悪い点、思考の明晰さを持った人間の行動を間近に学び、自身の人生にも大きく影響しそうです。
上記作業を緻密に施した車両は信じられないほどの質感を持っています。同じバイクとは思えない滑らかさ、乗り味、操縦性です。