ダンパーを造る意義を考える

 今年は完全自社製のダンパーを製作予定です。

 では、なぜ自分で造る必要があるのかを考えました。意味の無いものを造っても仕方ありませんので、きちんとした理由があります。まず、既製品をかなり多く改造してきたなかで、殆どの部品を造りました。ピストンに始まり、ロッド、シリンダー、シールヘッド(オイルシールの保持部品)、フリーピストン、シリンダーヘッド、エンドアイに調整部品です。これらを造り、試した結果で自社で造ればより良い物が出来ると確信したからです。

 FGを筆頭にオーリンズなども十分に良いと思います。これらを基に改良すれば、納得できる品が出来上がるのは分かっています。ですが、それはある意味、他社への冒涜である気がしています。市場に流通しやすい価格で大量生産し、製造過程の誤差を小さく抑えるのは、造れば分かりますがかなり難しい仕事です。それらを尊重すれば、自作の改造部品を投入するのは、正直はばかられます。

 自分で全てを造ってこそ、批判に対しても全て受け止めらます。全て造るとは、私にとっては納得していると同義です。だから気に入らない点を指摘された場合は、技術的な問題か価格面での限界かを明確にお客様に説明できます。私が造ろうとしているのは、最高価格の品で、極力妥協を排した品です。リアサス一本で数十万円の予定です。しかし性能のみならず、部品の加工時に入る刃物の跡にも気を使うような品です。性能面で一番良いのは、オーリンズのような鍛造です。強度や大量生産での価格を考えれば、鍛造を選ぶのが正しいと思いますが、自分の選べる手段の中では削りしかなく、そこに付加価値を高めるには前記の事柄が重要になります。

 性能は良くて当たり前、その上でお客様が驚くような乗り味を提供し、そこから更に外観も一人一人のお客様に満足してもらえる物を目指します。

 ここまで書いて、全ての部品のカラーオーダーなどが可能かと言えば、そうではありません。お客様が何でもかんでも好きに出来るのは、造り手として弱さがあるのではないかと思っています。

 今年中にはベースが出来ますので、楽しみにしてください。私自身が一番楽しみにしているのが本音です。

 

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