良い物ほど腑分けが難しい

 今年に入り、Ferrari・456GT、Porscheの911タイプ996カレラ2、BMW・E46、E90、F30、G30、ホンダ・アコード、レジェンド、VW・ゴルフのヴァリアンテなどかなり多くの車に乗る機会を得ました。

 これらに乗り感じるのは、高度にバランスの取れた車(バイクも含め)は、問題点を見つけるのに、非常に難儀します。最近は車のダンパーやサスペンションに対する評価を常に心がけているため、見極めにかかる時間が短くなってきましたが、それでも苦労する車もあります。

 人それぞれ、物を評価する軸があるのでしょうが、私のそれは一言で表現すれば「バランス感」です。細かい粗があっても、全体としてのまとまりをもっていれば、評価は高くなります。そのような車両を仕上げられるのは、作り手が全体を観る目を持っていると同時に、自分で造り自分で乗るからこそ、素晴らしい仕上がりに成るのではないでしょうか。

 今の私のセッティングにおける目標は、全体を高度に調和させたうえで、個々の要素(ダンパーやバネ、ブッシュ、幾何学)を重箱の隅を突くように細やかに仕上げる。という事です。それを早期に実現し、お客様の車両を更に高い水準へと仕上げ、驚くような乗り味を体感してもらえれば、この仕事においては、これ以上ない満足を得られると考え、日々研究を続けています。

 

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