新たな改造、発展

 DR-Z400SMのフロントフォークはかなり手の込んだ作りです。

これはスプリング加圧と呼ばれる、20年近く前ではかなり先進的な作りのフロントフォークでした。初代は1990年代中盤のスズキのモトクロッサーRMの正立フォークからだったと記憶しています。

 なぜ加圧するのかといえば、簡単に表せば圧力が高いとオイルは限界が高くなるからです。密閉された空間で気体を排除しさらに加圧すれば効果は高くなります。これはリアショック では当たり前の機構ですが、フロントフォークでは一部のレース用のみの特別な仕組みでした。
 しかし徐々に市販車へも使われるようになり、現代ではGSX-R1000やZX-10Rのフロントフォークにも用いられています。

 ですが、話題にしているフロントフォークは加圧はされますが、気体の排除ができないという致命的な欠陥を抱えています。今回の技術的ブレイクスルーはそれを課題としました。
 つまりはいつも執着している、エア抜きを機械で完璧にできるようにしたのです。

 この技術を現実にするためには別の問題も解消しなければなりません。それは加圧する手法をバネからスプリングに移行することです。こうしなければならない理由はいくつかありますが、それは一般の方に説明しても意味をなさないので、ここでは申し上げません。

 各種加工を終えて組み立て作業を始めると、また新たな問題が発生します。考えていなかった問題が起こり、それを解消するため更に機械加工を施し、組み立て作業の手順も開発しました。
 新しい挑戦をすると多くの事がわかります。失敗からも着想を得てまさに瓢箪から駒と申しますか、失敗は成功の糧とはまさしくと言ったところです。

 このDRZについては、動画で詳しく話をするつもりなので、少々お待ちください。

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