低負荷時のセッティングを始める
車体の足廻りの設定をする場合、私は低負荷時(低速)の車体姿勢を基本とします。その方が問題点を把握しやすいからです。
先ず、跨いだ状態のハンドル、シートそしてステップの位置を確認しなければいけません。そこが車体の中心から大幅に外れた位置にありますと、車を上手に操れません。詳細はここでは論じませんが、重量物から遠い位置でそれを操作するのは、近い場合と比べ力を必要とするからです。
ポジションが良いならば、次は走り出します。直線でかつ低速で、2~3速ギアを使い軽く車を振ります。その時前後車高のバランスが取れているか、おおよその判断がつきます。前輪の動きに対し、後輪がどのように動くのかを、注意深く感じ取ります。違和感があれば、とにかく前後どちらかの車高を変更してみます。その経験を積み重ねると、即座に変更すべき数字が頭に思い浮かぶようになります。以前書いた事なのですが、車が気持ち良い動きをするかどうか、それを感じ取ります。その感覚を鍛える意思を、常に意識します。
次に低速30~50km/hで曲率が一定な上に、なるべく距離の長いコーナーを曲がります。そうすると前輪と後輪の軌道が、同じ位置を通っているか感じ取れはずです。同じかどうかはご自分の判断で結構ですが、これが違っていると、やはり前後の車高を変更しなければいけません。
何度かの変更により、良い状態を作りだせたら、次の段階に進みます。次回は車高変更とばね定数、イニシャル(プリロード)の関係を通し、高負荷時のセッティングへ結びつけます。
上の変更を施す時には、まだ車両の地上からの絶対高は意識しないでください。前後の相対高に注意を払えば、その後に問題を検証し解決は難しくありません。