リアショックを作る
面白い受注がありましたので、題材にしてみます。
レース用スクーターのリアショック
サイドカーレースの富本さんが紹介してくれた方が、スクーターのリアショックを作りたいと依頼があり、作りました。車両は写真を見ていただきたいのですが、フレームは新たに作られた面白いバイクです。
アルミフレームで見るからに剛性は高そう。フロントフォークには古いRS125のフルアジャスタブルが取り付けられており、これもまた魅力的です。リアショックは新たにアルミの櫓が組まれ、そこにリアショックが嵌ります。このような形状だとレバー比の測定は用意です。早速計算し、使うスプリングレートを算出しました。それがわかると減衰の値もおおよそ分かるので、分で作ったシム組み表から近い物を選び、そこれに少しの変更を加え作り上げました。
スプリングレート、ストローク、ダンパーの自由長、上下2点の取り付けなど要点を抑えれば後は手を動かすだけです。この手の新規で製作する場合において一番問題となるのが、リザーブタンクの設置場所です。この車両は左側のシートした、サブフレームにタイラップで取り付けました。隙間が少なく、ステーなどを出す場所がないので、ここ以外の選択肢は少ないようです。
価格は?
当社に長く眠っていたFGを使いました。部品がちょうど一台分あり足りない部品は削りで作り、全て含めて20万円弱でした。普通に考えると20万円は安い額ではありませんが、セッティング幅を広げ車両全体のセットアップを考え直すには良い機会です。
このお客様も、船頭の多いサーキットで何を信じるべきか悩んだ末に当社へお越しくださいました。個別事例ではなく二輪車にとって必要な要素を説明差し上げ、車両作り、セッティングそれにライディングと全てを混然一体として捉え、しかし各要素は個別に論理立て組み合わせる必要があり、それがバイク作りにおいて勘違いや難しさを生むのだと思います。
仕上がった車両で近日走行されるそうなので、お客様からの印象を伺うのが楽しみです。