ドリームカップ、筑波初優勝
週末は金曜日から筑波に入り、56号車と62号車の二台のセットを進めました。
チームとしてのテスト項目と作業があり、それと別に車体セットの課題を同時進行でしたので、一本目の走行前はかなり慌しく、どうにか間に合ったのが実情でしたが、そこはなれた皆さんのチームワークがあり、ノーミスで終えました。
56号車は前回、レコードタイムを出したセットで進め、小さな問題点を解消するために少変更を施し、問題が解決した上に自己ベスト(つまりレコード)を更新したので、そのままテストを終えました。
迎えた予選では8秒5くらいは予想していて、ライダーも同様に考えていたようですが、実際は8秒2という2番手をコンマ5秒も離したものすごいタイムを記録しました。ですが、チームは「~秒出して」などのオーダーは無く「~秒が3列目になるから~秒だせば、~な可能性がある」といった方向で話をしています。育成が目的なので、タイムを重視せずに、もっと基本的な事を地道に進めています。これが監督以下、チームに共通した理念です。
決勝はスタートも決まり終始トップ争いをし、若者らしく我武者羅に、しかし既に十年近い経験をもつベテランとも言える、冷静な判断を持ち合わせた熱い走りで12周にわたり魅せるレースをみせてくれました。彼との仕事は面白く、走行後のコメントも謙虚ながら言うべきは言い、聞く耳を持つ素直な性格で、練習の姿勢も挑戦的です。残りのレースも転倒と怪我が無ければ、充分に良い結果を得られる実力があると思います。結果は3位ですが、初年度で筑波の走行が指折り程度の回数でこの結果ですから、逸材と申して過言ではありません。
62号車も今年は練習や思考が挑戦的です。自発的に多くの事を行い、情報の出し入れも円滑に進み、結果セットアップも早く決まります。練習のタイムは最低限をクリアし、決勝への具体的なサスセットを模索していました。最後の練習走行後に新たな問題が噴出したので、このクラスの予選ではかなり異例な方法を選択し、9秒2の予選結果でした。この手法を選択するには、担当トラックエンジニアの大槻さんと方向性を話し合い、監督代行とチーフメカに話を通し、監督の判断を仰ぎました。こう書きますと、監督以外に決定権が無いように思えますが、実際は緊急事態になった場合、現場にその判断が委譲されますので、決定の速度が鈍ることはありません。これも日々の意思疎通を綿密に行う結果、監督からの信頼を得ている結果だと思います。ライダーも短い予選時間を上手く切り替えて、初めての方法を自ら効果的にしてくれました。精神面がとても太くなったと感じた一幕です。
正直申しますと、今年中に優勝できるだろうとは考えていましたが、予想よりも早く事態が進行したので、次の課題が持つ意味が変わりました。嬉しい誤算です。
56Racing様と活動を共にする4年目で、初の筑波優勝をチームにもたらしてくれた、桜井選手には感謝の気持ちがあふれています。きっと監督も、喉から手が出るほど・・・の表現がぴったりの気持ちだったと思います。チーム力とは度々耳にする言葉ですが、その輪の中に身を置き、初めて言葉の意味を知りました。
恵まれた環境で手伝える事に、監督とチームはもちろんスポンサーの方、応援に来てくださるお客さんに感謝しきれません。その中には56Racingに批判的な方々も含みます。そういう人たちを呑み込む器がこのチームにはあります。
次のレースで情けない姿を晒さないよう、さらに精進します。勝者のプレッシャーは緊張感と共に、心地よい圧迫感も与えてくれます。