バイクを決める要素は
二輪車の特性を決定する要素は何かを常に考えています。
数年前にある会話を切っ掛けに、上記の事を考え始めましたが、私見ではエンジン形状がその最大要因ではないでしょうか。
なぜなら、アメリカンでもスーパースポーツでも、どのようなエンジン形式でも搭載は可能です。しかし、アメリカンに幅広の直4を載せればバンク角はもちろんですが、長いクランクのジャイロ効果と、車体が要求する低いエンジン搭載位置のせいで、旋回が儘なりません。
スーパースポーツは、ビッグシングルでは要求性を満たせないばかりか、幅の狭いクランクを高い搭載位置にすると、軽快性を通り越し不安定な車体になってしまいます。ただ、シングルならば搭載位置はかなり自由度が高いので、パワーを出せるなら可能性は有るのかも知れません。実際に600cc程度なら現実にその様な車両もあります。
2ストロークエンジンは非常に低重心で、幅の狭いクランクを有し、V型ならば搭載位置はかなり後方になります。この点はL型エンジンを積むDucatiも同様です。このようにクランクセンターが低く後ろにある車体は、フロントフォークの設定をしっかり動かすようにしなければ、荷重移動が起こらずに、フォークが沈まずブレーキも利かない、コーナー入り口で曲がらない車体になります。それを理解しなければ、突き出しを多く取る危険な車両になり、フォークが入らないのでブレーキの利きも悪く、転倒も多くなります。
この様な思考実験と、実車での実験を繰り返し得た結論は「エンジン形式と搭載位置(厳密にはクランクセンターの搭載位置)により車両の性格を決定する」です。付随してエンジン特性(トルクやパワーデリバリー)で搭載する車体、フィールドを決定し、その後に車体細部を詰めるのが本筋ではないでしょうか。