S1000/M1000から考えるローダウン入門──前後等沈みで“軽快さそのまま、安心だけ近づける”方法

S1000/M1000の両シリーズから紐解く、ローダウンの基本

例えばS1000(M1000)に乗って街を走っていると、信号待ちで両足がつま先立ちになり、「あともう少し沈んでくれたら」と感じる瞬間がある。Uターンで一瞬肩に力が入ったり、段差で「コツン」と小さな衝撃を受けたり――速さやスペックではなく、日常の体感で「もう一息ほしい」と思う場面があるのだ。

S1000系はハンドリングが素直で、電子制御も非常に優秀だ。それだけに、車高を下げるなら前後を同じ割合で沈める『等沈み』の作法を守りたい。フロントフォークの突き出し量だけ増やすとか、リアだけ車高を下げるといった近道は一見手軽だが、走らせると腰砕けのような頼りなさやサスペンションの粘り不足を招きかねない。

シート高が20mm下がるだけでも、跨った瞬間の安堵感は大きい。バイクを押し引きする際の取り回しも軽くなり、微速での足出し旋回に余裕が生まれてくる。多くの場合、この約2cmのローダウンであればスタンドの長さを変えずに済む範囲だ。軽快さはそのままに、安心感だけをもう一歩近づける現実解と言えるだろう。

さらに思い切ってシート高を30mm下げるなら、足つきは大きく向上する反面、車体の“芯”を合わせ込む繊細なセッティングが必要な攻める帯に入ってくる。ローダウンの方法にもいくつか段階があり、足つきを最優先して最低限の変更に留める手法(LTD)、フロントフォークに専用スプリングを組んで前後バランスを図る手法(LTD2.0)、さらに前後ともスプリングを交換して芯を追求する手法(LTD2.2)など、それぞれアプローチが異なる。それぞれで得られる安心感と走行性能のバランスが違うので、何を優先するかで選択が変わってくる。

電子制御サスペンション(DDC/ESA)搭載車でも、丁寧に作業すれば問題は起こりにくい。基本を守れば、実際トラブルは滅多に起こらない。電子制御相手でも、要は作法次第ということだ。最後は、サイドスタンドの傾き角も10〜14度になるよう微調整する。これがローダウンにおける仕上げの“礼”である。

もちろん、ローダウン“しない”勇気が報われるケースもある。例えば、サーキット走行でタイムを削る完全スポーツ志向のライダーや、二人乗り・キャンプ道具満載で走ることが多い人なら、無闇に下げず本来の車高とストロークを活かす方が安全マージンが高い。そうした場合はこちらも、まず下げない整備――高さはそのままに、前後サスペンションの姿勢と減衰を整えるアプローチを提案する。ローダウンの長所と短所を併記しながら、状況に応じた選択肢を示すことが大切だ。

ここまで述べてきたローダウンの作法は、実は車種を超えて普遍的なものだ。ホンダのCBでもドゥカティでもヤマハでも、サグ出し→前後車高の適正化→スタンド長の調整、という基本の順序は同じ。ローダウンとは、単にバイクを低くする技術ではなく、“最適化”の技術である。

話の入口はS1000(M1000)限定でも、出口はローダウン全般の相談に通じている。身長・体重・主な用途などを教えてもらえれば、LTD/LTD2.0/LTD2.2、あるいは「下げない整備」まで含め、どのアプローチが“今のあなた”に合うか一緒に地図を描くことができるだろう。大げさなことではない。現在の状態を再認識して、それを数行のメモに記すことから始めましょう。

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S1000/M1000系のローダウンについて、もう少し具体的に知りたい方は、まずご自身の情報を簡単にお知らせください。身長、体重、主な用途(街乗り・ツーリング・ワインディング・サーキットなど)、気になっている点を数行で構いませんので添えていただければ十分です。拝見し、LTD/LTD2.0/LTD2.2、あるいは「下げない整備」を含めて、現時点の車両と体格に見合った方向性をご提案いたします。

ご連絡は、お電話・LINE・問い合わせフォームのいずれからでも承っております。落ち着いて検討いただけるよう、数値と整備内容をできるだけ明瞭な形でお返しします。

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