【CB1100EX】の改造車両、試乗の感想ほか
以前、依頼いただいたお客様が車両入替でCB1100EXを売却するということで、車両を預かりました。そこで販売のため各部の確認と、動画とブログにするため試乗を行いましたので、CB1100の基本特性と改造箇所に関して記します。
目次
1 CB1100の特徴と基本特性
2 エンジン
3 改造した前後ショック
4 タイアに関して
5 試乗しての総評
1 CB1100の特徴と基本特性とは何であろうか?と自問するならば、空冷エンジンと18インチホイールだと答えを導き出します。
特徴とは他と違う部分を指します。ありふれた直列4気筒ですが近年では珍しい空冷エンジンは、充分特徴に値するのでは無いでしょうか。さらに燃料供給が電制なのもかなり少数派です。
2 エンジン
4バルブの現代的な水冷エンジンが根底にあるとは言え、造りての演出によりまるで2バルブのゼファーみたいなドロドロした回転上昇を感じられます。
4000回転前後まではややだるい回転上昇ですが、高回転へ向けて滑らかで綺麗な回り方になり、実は結構ハイパワーです。
個人的には7000回転までにしてよりトルクを押し出した演出を感じたいところですが、そうなるとややアクが強く万人向けでは無いかも知れません。
3 改造した前後ショック
これに関しては既に純正の試乗印象が忘却の彼方なので過去のブログを引き合いに出しますので、お時間の許す方はご覧下さい。
それではフロントから解説
当社で行った改造はSGCF4Pと呼ぶカートリッジを追加してあります。右に伸び、左に圧の減衰調整を可能としイニシャルアジャスターも勿論備えています。
調整可能だから良いわけでなく、車両に合わせて作り込む事に価値があります。同車両の専用品ではなく、過去の経験と何度も造り直した事でバネも減衰も車両に合わせ込んであります。そのため街乗りの極低速域での旋回、減速、加速においてシットリとよく動く柔らかな乗り心地です。ですがバネの値を吟味し高荷重域でもしっかりと受け止められます。
これは重要な点なので強調しますが、この二面性を高度に両立させることこそが高品質、質感が高いと定義しています。動きが良いとか悪いは単体での評価でしかなく、ショックの動き(機械的性質)と動かし方(サスペンション設定)の両方が高度化していなければ、高性能とは言えません。
リアショックはFGを一品制作
お客様が社外品への交換を希望されたこともあり、当社で在庫としてあったFGを用いました。その理由は基本性能が高い(オーリンズに引けを取らない)のに加え、トップアウトスプリングを初めから備えているため、強い減速での安定感は特筆物だからです。
本題ではないためリアショックの細かい仕様には言及しませんが、Φ36シリンダーとロッド径14mmは高性能ツインショックの王道です。
サスペンションのセッティンで一番大切なのは一にも二にもバネです。これを間違っては良質な操舵性は得られないからです。
その次に減衰を含む各種の項目を詰めてゆきます。無論、バネ以前に車両やタイアにまつわるあれこれありますが、一般的に調整可能な部分において、という前置きあっての話です。
4 タイアに関して
ホイールが18インチで更に細いのも大いなる特徴です。フロントが110/80でリアは140/70。幅だけで言うなら250cc並なのは面白いところ。
寸法は上に書いたとおりです。ツーリングタイアは基本的にゆったりした特性を持っています。しかし細身のタイアは左右への動きに対し機敏です。
これら両者の具合がかなり好ましい。程よくゆったりしつつ神経質過ぎない感触が気持ち良く、緩やかな旋回から意識的なタイアを潰しつつ倒し込む感触が本当に楽しい。
正直、それほど素晴らしいタイア特性ではありませんが、単体の性能評価ではなく車両との組み合わせが良いのでしょう。結局は前回のブログで書いたように合計得点の高さよりも、各項目ごとの平均点の高さが重要なのでしょう。
5 試乗しての総評
一言で表すなら楽しいに尽きます。細身のタイア、18インチホイールの穏やかな特性。低速から粘りつつ滑らかなトルク特性。
マフラーは純正の2本出しでも良い印象を持っています。社外の方が確かに軽く出力も高いので興奮しますが、重量を除く基本特性は純正エグゾーストも良いので、社外品への交換を考えている方は一度、ノーマルの特性を見直し思いとどまるのも価値があります。
旧型のタンク形状が格好良く好きなので、自分なら旧型を選びます。ホイールもスポークではなくキャストの方が好きなのはメンテナンス性が高く楽をできるためです。ゼファーシリーズもそうですが、スポークには外観上の魅力もありよいですけれど。
というわけで今回の記事はここまでです。