現行型YZF-R7 ノーマルショックの印象と、前後ショック仕様変更

YZF-R7の前後ショックについて

1. 純正ショックの乗り心地

YZF-R7の純正ショックについて、以前にもブログで触れましたが、今回はさらに詳細なデータを基に仕様変更も行ったため、精緻な印象をお伝えします。

フロントフォーク

  • バネ定数: 純正のフロントフォークのバネ定数は9.5Nm程度です。測定結果から個体の誤差として±0.1Nmほどの幅を見込んでいます。
  • バネの評価: バネの定数自体は悪くありません。イニシャル量も適度に設定されています。
  • 減衰力の不足: しかし、問題は圧倒的に減衰力が不足している点です。これによりフロントの沈み込みが激しく、ノーズダイブが頻発します。圧の減衰力が足りないのに、バネレートとイニシャルの設定がそれに見合っていないため、上記のような激しいノーズダイブを誘発してしまいます。
  • バネのみでの解決策: バネのみで解決を図る場合、もっと低いレートにし、イニシャル量を大幅に増やすと改善が見込めます。この際は突き出し量の変更も考慮する必要があります。
  • 油面の問題: さらに、純正設定の油面が低いため、ボトム付近(フルストローク近辺)での反力が圧倒的に不足しています。

改善点

  1. 減衰力の底上げ: 減衰力を向上させることで、フロントの沈み込みを抑え、ノーズダイブを軽減します。
  2. 油面の上昇: 油面を上げることで、フルストローク近辺の反力を確保し、安定した挙動を実現します。

リアショックについて

  • 重い動き: リアショックはフロントと比べてかなり重い動きをします。
  • 原因と改善点: 原因は減衰力にあります。圧減衰が過剰であり、そのために全体のバランスが乱れています。圧減衰のみが過剰であるため、適切な調整が必要です。

純正状態のハンドリング

  • 前後のバランス: 基本的にフロントが低く、リアが腰高な印象を受けます。軽い減速で前が大きく沈み込むため、ブレーキを強くかけられないという欠点があります。
  • リアの問題: リアの過剰な圧減衰により、倒し込み時にリアが沈み込みません。上級者でなければ意図的に大きく沈み込ませるのは難しく、やや過敏な印象を与えます。

改善後の走り

  • フロントの改良: 減速や旋回時に、速度に応じた沈み込みを見せるフロントは、安心してブレーキレバーを握ることができます。倒し込み時にもフロントタイヤに荷重がしっかりとかかり、安心感が得られます。
  • リアの改良: リアは荒れた路面でバタバタせずに、しっとりといなすようになり、タイヤと路面が常に接することで高いグリップ力を発揮し、安心感が増します。
  • 自由度の向上: リアは伸びと圧の比率が悪く、圧を抜こうとすれば伸びが抜けるという悪循環から脱し、圧が目立たなくなったため、イニシャルや伸び減衰の調整に自由度が増しました。これにより、好みの特性へ容易に調整が可能となりました。

仕様変更のまとめ

  • 前後ショックのオーバーホール: 前後ショックのオーバーホールを行い、全体的な性能を向上させました。
  • フロントの減衰力仕様変更: フロントフォークの減衰力を変更し、ノーズダイブを軽減させました。
  • リアの減衰力変更: リアショックの減衰力、特に圧減衰を調整し、全体のバランスを整えました。
  • バネはそのまま: 前後ともバネは純正のまま使用しました。一般道や峠道、一般的なコースでの走行を楽しむためには、バネの交換は不要と判断しました。

価格

これらの作業をすべて含めて、費用は約21万円でした。

まとめ

今回の仕様変更により、YZF-R7の前後ショックは大幅に改善されました。特に減衰力の調整によって、フロントの沈み込みが抑えられ、リアも安定した挙動を見せるようになりました。これにより、ブレーキングやコーナリング時の安心感が大幅に向上し、より快適で安全なライディングが可能となりました。今後もさらなる改良を続け、最適なサスペンションセッティングを追求していきたいと考えています。

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