ばねと旋回の関係
今回はばね定数と旋回性の関係を考えます。
巷間で「ばねを硬くすると曲がらない」と耳にします。では、逆を考えて「ばねを柔らかくすると曲がる」のでしょうか。答えは「状況しだい」です。
以前書いたとおり、丁度良い硬さが欲しいので、硬くても柔らかくて、車は曲がりません。それはなぜか、二輪車は曲がりやすい車体姿勢があります。その姿勢を演出するためには程よい硬さを必要とするのです。その程よい値はどのように導くのか。
① 先ず、ばねが硬すぎた場合を想定します。ブレーキから旋回へ移行する時、前は下がった状態です。ばねが硬ければ狙った高さ(低さ)まで下げられないので、前が高くてインにつけないのです。
② 次に柔らかすぎた場合ですが、ブレーキから旋回で、狙った高さよりも下がりすぎます。この時は一般に曲がらないと言うより「ブレーキレバーを握れない」と表現される傾向にあります。仮にブレーキを同程度掛けられたとしても、ブレーキレバーを離して戻ってきて欲しいフロントが、いつまでも低い位置にあるので、感覚を表現すると「レバーを離しアクセルを開けても、前が(コーナー内側に)残って綺麗に外へ孕めない」となります。外へ出ないのなら、どんどんアクセルを開ければよいのでは?と考えるのが当然ですが、試せば結果は明白で、リアが滑ってスリップダウンになると思います。
③ 販売している純正のサスペンションのほとんどは、スプリングレートは低く、減衰は不足気味です。ではなぜ、曲がりやすく感じるのか?それは柔らかいばねに大目のプリロードをかけ1Gの車高を作り、設定値を超えた入力に対し急激に大きくサスペンションを作動させ、前下がりの状態を作りフロントを内へ向けるのです。
今日は、「ばねを硬くすると曲がらない」を論破するための状況説明でした。次は、硬くしたばねを使い、どのように旋回性を確保(演出)するのか。そこに触れてみます。