フロントフォークの歴史と移り変わり
サスペンションの歴史を振り返り、温故知新と言った形で最新機構をより良く見直して見ようと考えていますが、そのついでに皆様にもフロントフォークの形態がどの様に変化してきたか、簡単に話します。
サスペンションの主な役割は不整地での走破性を高めるためです。ここでは姿勢変化や荷重変化を受け持つ高機能な面を省き、路面の凹凸をどの様にいなすかに焦点を絞り説明します。
リジットマウント
ショックユニットのない、いわゆるリジットもサスペンションの一形態とされています。フレームとタイアをつなぐ部品の形状や剛性により少しのたわみがあれば、少ない量であれ衝撃を吸収します。
一番は路面からの入力を減衰せずに車両に伝えます。反応速度は極めて早い反面、正直乗っているが辛い位に乗り心地は悪く、怖い思いをします。
ガータ式
旧いハーレーなどに採用されていたスプリングが外から見える仕組みです。
この仕組の欠点はストロークによる変位でトレールが変化する点、ストロークを大きく取れない点にあります。
アールズ式
旧いBMWに採用例があります。揺動運動により摩擦抵抗は小さいそうです。横剛性が低く慣性モメントが大きいのが弱点です。
ボトムリンク式
リーディングアーム式
ビジネス車両。スーパーカブ等に作用されており、ストロークは大きく取れず、トレール変化も大きいのが特徴ですが、安価に製造できるようで、軽量、乗り心地もそれなりに良くなっているので、安価な車両には向いているみたいです。
ボトムリンク式
トレーリングアーム式
上のリーディングと違い、後ろにショックがついているためトレーリングと名付けられています。こちらもリーディングと同様の特徴を備えています。
テレスコピック式
現代の車両ではほぼ全てと言っても良いほどの採用率の形態です。テレスコープ(望遠鏡)のような形から名付けられました。
余談ですが、テレとはテレフォン、テレヴィジョンなどにも用いられておりラテン語で「遠く、向こう側」などの意味です。
テレスコピックの利点はストロークが大きく取れるし横剛性も高い。トレール変化も少ない反面、摩擦抵抗が若干大きいようですが、技術の向上によりフリクションロスもかなり低減したようです。
減衰の発生方法
テレスコピックには主に2形態3種の減衰発生方法があります。私には3形態3種に思えますが、一応参考にした書籍に習った表現にしておきます。
1 ピストンメタル方式
インナー先端にピストンを備え、アウター上端にスライドメタルを置き、その隙間で発生する減衰力を利用します。
2 チェリアー二式
イタリアのチェリアーニ社が開発したため、この様に呼ばれています。正式な表記は「Ceriani」でイタリア語発音はチェリアーニです。セリアーニと呼ぶ方もいますが、それは英語読みですね。
これはインナとアウタが全面摺動(後にスライドメタル、ガイドブッシュを備え、一部の面接触となりました)で、減衰力はアウタに固定したピストンとインナの動きで発生します。
3 カートリッジ式
現代の高性能、高価格車両はほぼ全てこの方式を採用しています。内部に積層シムを載せたピストンを備え、細やかな路面状況に対応出来ます。
まとめ
基本的な構造ではストロークの確保とトレールの変化をどれだけ抑えるかが開発の目的とされ、その後に減衰力の発生方法が煮詰められてきました。
また、BMWが採用するテレレバーやデュオレバーなど複雑な派生形も多数ありますので、ネットで調べるのも楽しいので、皆様も時間があればネットサーフィンを楽しんで下さい。