オーバーホールサイクルについて
昨日の動画は、度々質問をいただく「リアショックのオーバーホールサイクル」について、私見を述べました。
https://www.youtube.com/watch?v=FYQLvobmA3k&t=143s
動画の文字起こしになりますが、その要点と結論から記しますと以下のようになります。
要点1 構造の違い
気液分離型であるか?
要点2 分離型であるならば(前提としてガス加圧でもある)、エア抜きの水準に依拠する。
結論 CB400SFやCB1300SFのようなリザーブタンク付きのツインショックは、きちんとした工程を踏んでいれば、当社のO/Hにより4〜6年は問題なく使い続けることができる。
動画にて概要は述べてありますので重要な二点を解説すれば、分解作業で重要になるのは洗浄、汚れをどれほど落とせるかにかかっています。超音波洗浄機など機械をどれほど使っても中々完璧とは言えないため、細部は人間の※手作業が必要となります。
※この手作業をどれだけ省けるかは、企業努力、生産性の向上として常に課題ではあります。
企業利益のみを追求するのであれば一定の線引きをし「機械を用いてもこの程度なのだから」と、設けたラインでお仕舞いにすれば、単価は下がります。ですがそれは多くのオーバーホールショップが行っている手法であり、とことん追求するのはごく少数に留まります。であれば当社はその少数に入るべく、追求型の姿勢で作業を行っています。
第二の要素であるエア抜きですが、これは常々書き記し、動画でも話しております。しつこく繰り返しますが、ダンパーの性能はオイルと気体が混ざると所期の性能を発揮できません。ダンパーの減衰とは、大きな抵抗を持つオイル(流体)が通路であるポート、オリフィスなどを通ることで発生します。これらは通路の断面積、通路の長さ、流体の粘性、流体の速度等が関係して発生します。オイルに求められる抵抗を気体は持ち得ません。したがって、気液混合となるとダンパーの発生する減衰力は大幅に低下します。
このように洗浄とエア抜きが大きな要素を占めているのですが、分解の手順や手法によりダンパーを壊したり、組み作業の工程で摩擦抵抗が大幅に増したり、ガス圧が不適切であれば硬さが露骨になったり、そも減衰力が発生されない事例も起こり得ます。
二輪、四輪問わず少し注意深く乗って居れば、その感覚は少しづつ磨かれてゆきますので、興味を持たれましたら楽しみながら感性を磨いて欲しいと思います。