スプリングとダンパーの関係

 15年以上前の話ですが、NHKのラジオ講座を聴いていたところ「時間と空間の世界史」に当たりました。

 それまで歴史を時間軸だけで捉えていた私には、空間を取り入れた二軸で考える手法に驚かされました。

 ダンパーも実は同じことが言えます。今日の午前中にお客様から「減衰でよくなりますか?」と質問されました。私はそれに、スプリングと減衰は役割が違うと答えました。それを文章にしてみようと考え、筆を取らずにキーボードを叩いている訳です。

 スプリングは”主に”距離を担当します。バネは、かかる荷重に応じてストローク(つまりは移動)しますが、硬ければその距離は短くなり、柔らかくなれば逆に移動距離は長くなります。

 ダンパーは”主に”時間を担当しています。バネが決めた移動距離をどれ程の時間をかけて到達するか。それが役割です。この説明だけで、減衰がスプリングの役割を担当できないと理解いただけると思います。

 上記のスプリングと減衰の役割は、旅と同じです。スプリングは目的地であり、減衰は移動手段です。
 同じ目的地(距離)でも移動手段により、かかる時間は様々です。100Kmの距離を徒歩ではかなり早くても24時間前後かかります。しかしそれが自動車などであれば、1〜2時間で到着します。飛行機なら数分で移動できます。
 ですが「どんなに速く移動できても目的地は変えられない」のです。これが今回の結論です。移動手段(減衰の強弱)では目的地(ストローク量)は変えられない。この事実を踏まえれば、サスペンションセッティングに関して、大きな間違いを犯しません。

 実は移動手段で目的地を変える事は全く不可能ではありませんが、極めて限定的な誤魔化しでしかないので、ここでは敢えて説明しません。しかしそのヒントは時間と空間(距離)にあります。興味のある方は考えてみてください。すぐにでも答えを知りたい方は、面と向かって質問くだされば、その場で返答いたします。

 小野寺が作った図にそのヒント、というよりも答えその物を載せますので、もしかしたら案外簡単に理解可能かもしれません。

 

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