HAWK11の前後ショック改造

 昨年末に、HAWK11の改造依頼を受け、フロントにOHLINS・FKSを組み込み、リアにはBMWのモノショックを改造して取り付けました。

 価格が高くなりますので再現性が低いのは難点ですが、それでも紹介することで何かしら皆様の参考になればこれ幸いと、筆を取った次第です。

 以下に大雑把な純正の印象と、仕上がった車両の特性を記します。

1 純正の特性
2 改造の要点 FKSカートリッジと、シングルチューブモノショック
3 仕上がり
4 タイア
5 価格

1 純正の特性 これはサスペンションはかなり良いと感じました。使っている部材、仕組みはこれまでと何ら違いのない普通の作りですが、バネ定数と減衰設定が車両に丁度良いのでしょう。

 上質には程遠いものの楽しむには問題ないサスペンションです。スプリング交換だけでもかなり良くなるはずです。

2 改造の要点 FKSカートリッジ

 何が絶対というわけではありませんが、お客様の要望で前後オーリンズに決まりました。

 専用品がないフロントは丸ごと交換となりますと、かなり高額になってしまうため、カートリッジ追加としました。丸ごと交換なら50万円は下りますまい。

 FKSは税抜き定価155,000円です。これにOHLINSスプリング、インナーチューブのコーティング、取り付け工賃を含めると概ね45万円ほどになりました。

 FKSは再安価な製品ではありますが、基本構造は上位のFGKと同様でありトップキャップの意匠とトップアウトスプリングの有無に違いがあります。

 過去にも多様な車種に同製品を用いましたが、かなり良い動きをみせます。一番進めたいのはFGKではありますが、こちらのFKSも文句のない仕上がりです。

 シングルチューブモノショック リザーブタンクあり

 リザーブタンクなしのOHLINSならば、25万円程で製作可能です。リザーブタンクをありとなると40万円を下りません。

 今回はお客様たっての希望から、リザーブタンクありを製作しました。

 シングルチューブで車高調整とリザーブタンクを備えた、フルアジャスタブルです。自社在庫であったBMWのリアショックにR25用のリザーブタンクを取り付け、車高調整等の部品を追加で取り寄せました。

 スプリングレートは純正とほぼ同じですが、ノーマルは二段バネのため代表値で比較しています。

 調整ダイアルを備えたうえ、現車合わせで減衰を詰めたためかなり良い塩梅になりました。次回製作時にはもう少し設定を煮詰めたい部分もあるように感じましたが、お客様には十分楽しんでもらえる良い仕上がりです。

3 仕上がり 当然といえば当然ですが、かなり楽しいバイクになりました。純正の「文句がない」という感じから「抜群に楽しい」へと大幅なレベルアップです。

 具体的には前後ショックの動きがよくわかるけれど、必要最小限のストロークで振られるような事はありません。そのストロークはフロントを130mm以上として、十分な吸収力を持たせてました。

 減衰力を発生するピストンは30mmのNIX構造です。車両に合わせて何度が仕様変更を施しつつ、最適になるよう仕上げてあります。

 リアショックも必要以上に硬く、柔らかくせず、車両に最適と思える適度な動きをみせます。現代最強のTTxもよいのですが、旧来のシングルチューブ特融のやや緩めながら甘い動きは街乗りや峠道を快走するには十分であり、適役です。

4 タイア お客様は当初から幾つかの案を持っておられました。その中でミシュランを希望されており、この数年で試した中から一番好みのパイロットパワー2CTを提案して取り付ける事となりました。

 前後ショックの質向上だけでなくタイアの果たす役割は大きく、今回もパイロットパワーに助けられ大幅に良くなりました。

 同タイアは今では珍しい、エッジまで溝があり最大グリップは低めです。しかし平均値が高く極めて扱いやすさが素晴らしく、現代でも一級品と思います。

5 価格 前後ショック、インナーのコーティング、タイア交換などを含めると税込みで100万円弱でした。インナーのコーティング、リアのリザーブタンクを省略するだけで20万円以上は価格をさげられるので、仕上がりと金額の両面から相談していただければ、都度対応いたします。

 納期は部品在庫の問題もありますが、おおむね3か月程度となります。高額なため、依頼時に全額か一部料金を頂きます旨、ご了承ください。

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