瞬間中心から車両特性を読み解く
先日は動画でスウィングアームのジオメトリを話、瞬間中心の説明をブログでも行いました。今回もその続きです。
今後は独自に集めた瞬間中心の図を公開して行くつもりですが、参考例として10台ほど線を引き、情報を集めました。
実際に試乗経験のある車両や、試乗できないようなGPマシンやそれに準ずる車両は中野真矢さんから得た証言を下地に考察を重ねた結果。瞬間中心が車両運動に大きく関わるのは当然として、操舵性に密接と異より、直接的に大きく関連しているとわかりました。
特にCBR1000RR、RC213V-S、MT-09でその独特な瞬間中心位置(それはエンジン搭載位置とも換言できる)やクランクセンタが、これら車両の個性を強く演出している事実から、上記の「直接的に大きく関連している」を裏付けています。
CBRやRC213はフロント一輪車のような操舵性で、それは瞬間中心が相当前方にあるためのハンドリングだと結論づけられます。当然、これに加え車両姿勢と前後ショックの設定も大切ですが、それらの合算が空車1Gの瞬間中心に現れるわけです。
MT-09は引いた線から、エンジン搭載位置がより明確にわかりました。この車両はエンジンが低く後ろに置かれるため、ドカティのLツインや2ストレーサーのような重量配分です。こういった車両はサスを硬めすぎると重心移動が小さくなり、旋回性を下げてしまうため、前後サスは硬めづに柔らかく動く中に踏ん張りを持たせた方が良いと思いますし、過去の実績ではそのように仕上げてきました。
今後は車両預かりの場合は、瞬間中心を求め車両の運動特性をより深く探究してみます。