GSX-S750を30mmローダウンと前後ショックの改造
スズキのGSX -S750のシート高30mmローダウンの依頼があり、新車を預かりましたのでその顛末を記します。
この車両。エンジン特性はとても好ましく感じており、私も好きな車両です。ただしサスペンションを含めた車体には課題があると私は感じましたため、それを話します。
基本の車体姿勢とスプリング
前のスプリングは柔らかく、リアスプリングは適度。だがイニシャルがやや多めにかかっていました。この状態、つまりメーカー出荷時の操舵性はアクセルオフ(またはブレーキ)で車両前部が大きく沈み込み、楽にイン側へ曲がってゆきます。その時、リアショックの沈み込む減衰は強く効いており、張り気味なイニシャルと合わせ突っ張った印象です。このリアセクションの動きは楽な向き変えに大きく貢献しています。
ですがブレーキを強く握りながらの旋回は苦手です。2段バネを採用したフロントセクションは頼りなく、強い入力には答えられません。2段バネにより動き出しは驚くほど軽く、ボトム付近は急激に反力が立ち上がってくるので使いづらさがあり、シングルレートスプリングが好きな私には勝手の悪い仕様です。
リアはバネ値は良いものの、圧減衰が過剰に強く、これを抜くだけでもかなり改善がみられます。それに加えて純正同等のバネ値を使いながらもイニシャル(バネの圧縮量)を少なめに取れば、動き出しの柔らかさと、奥の反発を両立させられるため、その点に留意してセットし直しました。
作り変えた後の操舵性
上記の点を変更した操舵性は如何なるものか、と言えば「普通になった」でお終いです。
アクセルオフでスッと自然に鼻先(車両前部)が沈み、ブレーキを使い大きく沈ませる時にも思い通りのストロークを取れます。
リアは乗車1G(車両に跨った時の沈み込み)を必要充分に取れるようになり、減速時に前が沈み後ろが伸びる際、リアタイアの荷重が抜けないために穏やかな特性と強い安定を感じ取れます。
倒し込みでも滑らかにリアが沈み、悪路走破性が大きく向上するとともに、その相乗効果として乗り心地も大きく向上します。そしてスッとリアが沈めば向き変えの準備が整う訳ですから、アクセル開で伸びやかな加速を見せるようになります。
まとめ
今回はローダウンとともに前後ショックの仕様変更も行いました。ローダウンをしても乗り心地を純正以上にする事は十分可能です。そうは言ってもローダウンせずに操舵性(ハンドリング)を追求すればもっと上質に軽快性と安定性を両立させられます。
妄想
フロントフォークに純正改造か社外品の減衰調整機構を追加し、リアショックは交換しれば最高に楽しめので、もし自分でこの車両を買うならばそうしたいと思いました。