アプリリア、RS660の純正ショックを分解

 ちょっとした依頼がありまして、アプリリアの新型車両RS660のリアショックを分解する機会に恵まれました。

 最近の欧州車は日本製ショックを使う事が増えて、Ducatiの安価なモデルと同様にこのアプリリアもKYBを採用していました。とはいっても近年のKYBは非常に優れた性能を発揮するので侮れません。ダンパ開発に携わる知人からもKYBの基本性能の高さをきいています。

 RS660に使われているボデーはシリンダの内径が40mmなので最低限の性能を担保している程度です。それに伸び減衰調整を備えており、なんとか使える仕様です。シムの外径も一般的な寸法で特色がないとも言えますが、使い勝手が良いと捉える向きもありますから、汎用性が高く部品の入手も容易で便利な作りです。

 ダイアル調整で伸び減衰を強めると圧も同時に強まる両効きなため、基本設定が大切になります。しかしこの車両においてはやや圧減衰が立っており、伸び減衰を強めると同時に強まる圧減衰を邪魔に感じると思います。
 そこで今回は圧のシムを抜いて動きが自然になるよう整えました。

 その他にロッドの表面はかなり荒い仕上げで、仕上げ加工は一切行っていいない様に見えます。本当のところは分かりませんが、オイル漏れが早期に起こるのは避けたいと考え研磨を行なっておきました。

 リザーブタンクはありませんが、ガスバルブは最初から備えており最近のKYBは作業性が高く、好ましく感じています。

 リアショックの取り付け位置からレバー比を算出し、逆算してスプリングレートを想像しました。その値は13.9Kでしたが実測値は13.5K前後と、ほぼ予想通りでした。これに関しては法則を理解できていれば外さない部分ですが、知っているかどうかは大きな差です。
 逆に予想に近い(各部の誤差を考慮しても)ということは、メーカーの思想も理解できて、自分で一からスプリングレートを設定しなければならぬ状況に陥った際に、基準値を持っている訳でそれはとても安心感があります。

 もしRS660で何かしら仕様変更を望む方がいらしたら、問い合わせください。

 

 

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