CBR250RR/MC51のフロントフォーク改造

 旧知の方から、CBR250RRのフロントフォークをもて耐仕様に改造する案件を依頼いただきました。

 スンナリとは進まず納期や仕上げの面で問題があった事を告白しつつ、お客様に迷惑をかけてしまったのは大きな反省点でした。それを踏まえ、顛末をお楽しみください。

 最初はオーリンズのFGKカートリッジキットを使用予定でしたが、インナーチューブが細く、当然内径も小さくなるために使用できませんでした。そこで、旧来の25mmピストンを用いてNIX(オーリンズの呼び方)構造へ改造し、取り付けを可能にしました。
 そうはいっても簡単には付けられません。右フォークはスプリングだけしかないので、カートリッジを固定する方法がありませんし、左フォークはエンドのボルトがあるとはいえ、オーリンズはそのような仕組みではないためこちらも一筋縄では進みません。

 両フォークとも、カートリッジを加工しアダプタを製作する事で取り付けられました。インナーの内径とカートリッジの外径はかなり危うい寸法ですが、なんとかオイルの流れを妨げないギリギリの数字で一安心です。

 トップキャップもはまりません。これはもう途方にくれるしかない・・・とはならず、採寸し寸法を検討し、なんとかなる(心の中では映画ラピュタの中盤で、ドーラがゴリアテに追いつけると算盤を弾いた時の「なんとかなりそうだ!」っと叫びました)と判断し、絵を描いて製作に取り掛かりました。慣れると一つ1時間程度で仕上がります。
 ここで思いついたのは、オリジナルのフロントフォークトップキャップを製作する事です。フロントフォーク交換は非常に高価なため、トップキャップを交換し格好良く、更にはノーマルのフォークではない事も主張出来るのではないかと期待しています。

 シム組はNIXとしては初めて使うピストン、車両であったため中々答えは見つかりません。手持ちのデータと経験を基にして、ある程度の処で賭けに出るしか決着しないので、最後は清水の舞台から飛び降りる覚悟で組み付けました。

 今日の朝、茂木へ納品しそのまま走行についていましたが、細かい問題点はあるものの素性は良さそうなので、今後はダイアルがキツ目なのを解消するためシム組で減衰を強め、スプリング交換や油面調整を楽にする構造変更を進めます。

 56レーシングとは違ったティームと仕事をすると、ライダーのコメント、メカニックの求める要件、セットアップの進め方の違い等を学ぶ良い機会となりました。そんな事を考えながら1コーナーからピットに戻る道すがら、なんとKISSレーシングの桜井芽依さんに会いました。彼女はBMWでもて耐に出走するそうで、当然といえば当然ですが久しぶりに会えたので就職の事や近況を話せたため、良い時間を過ごせました。

 帰路は途方もない眠気に襲われ、1時間ほど車中で仮眠を取ってから帰りました。

 

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