GSX-R1000K7の前後ショックO/H

 前後ショックのO/Hとスプリング交換で依頼があり、作業を終えました。

 フロントフォークスプリング
 純正を取り外した実測値は1.05Kgf/mmでした。街乗りでも使えないわけではありませんが、トップアウトスプリングとの相性が悪く、全体の動きをまとめると使えるストローク(正のストローク)が減り、姿勢変化が大きく作れずに旋回性と乗り心地が両方ともに悪化します。

トップキャップには伸び減衰とイニシャルの調整機構があります。

 そこでスプリングは少しレートを落とすと、フロントフォーク全体の動きが綺麗にまとまります。

ブラケット側には低、高速の圧減衰が調整可能です。

 街乗りや峠道メインのスプリングだけで全体を造り込むのであれば0.9~0.95Kgf/mmだというのが、私の考えです。これくらいまで柔らかくすると、イニシャルをある程度かけてゆく必要があります。それにより初期の反力がますために長く硬いトップアウトスプリングを潰しやすくなり、実ストロークを長く確保しやすくなります。

 リアショック
 一般的な寸法のフロントフォーク(インナ43mm、カートリッジのピストン径20mm)に対し、リアショックは大径化が図られて、性能の向上が図られています。

 ロッド径が16mm、シリンダが46mmと少し前の高性能ショックと同等です。そのため基本性能は十分なのですが、バネ定数と減衰力がやや調子外れに感じます。

 バネ、減衰のどちらかが極端に外れているというよりも、両者ともに少しづつずれていると言った印象です。

 今回は金額を抑えるために効果の大きなバネから取り掛かりました。純正のバネ定数は代表値として10.5Kだったものを9.8Kへと改めました。

 これとイニシャルの微調整でリア周りの動きが演出できるようになりました。ただ、低速コーナーが主になるのであれば9~9.5K辺りが適切かとも感じました。

スプリングはハイパコを選択。
伸び減衰の調整は下部にあります。

 バネと減衰のバランスは難しく、バネが硬いからなんとか動かしたくて減衰を抜くということが多々あります。こればかりは実際にバネと減衰を変化させなければ答えは出ません。
 ですが今回のバネ交換と、以前にサーキット用に設定変更を行った経験から言えるのは、前後ショックともにもう少し減衰力を弱めたほうが軽やかな動きにできるので、長く乗り続けたい方はO/Hの際に減衰仕様変更も追加作業をすると、より楽しめる車両に仕上がりますのでお勧めです。

前後ショックは車両に対する適正な作り込みと、前後の帳尻合わせが重要。

 前後ショックのO/H、減衰仕様変更とバネ交換で総額は概ね20万円(税抜き)ですが、かなり楽しくなりますので興味があれば相談してください。

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