LGNはローダウンなのか、走りのカスタムなのか?
写真はスポーツ性を高めるため依頼を頂いたS1000XR。ローダウンを目的としない初めてのLGNであり、ここからLGN.Sは生まれました。
目次
- LGNはローダウンなのか、走りのカスタムなのか?
- ローダウンの本来の目的とLGNの位置づけ
- LGNの本質:スポーツ性と快適性の両立
- リバウンドストロークやスプリング設定の重要性
- Triumph Tiger Sport 660の特性とLGNの進化
- スポーツ性と快適性を追求したローダウンの成果
- ローダウンから走りのカスタムへ
- 足つき性向上と走行性能の向上を両立するLGNの真価
- 今後の展望
- LGNの可能性をさらに追求するための取り組み
LGNはローダウンなのか、走りのカスタムなのか?
LGNは、当初ローダウンを目的として開発されたシステムです。しかし、その最大の特徴は、車高を大きく下げながらも、走りの楽しさを損なわずに保持できるという点にあります。多くのバイクでLGNを製作するうちに、私は次第に「これはローダウンだけでなく、むしろ走りを向上させるためのカスタムなのではないか?」と考えるようになりました。
1. LGNの本質:スポーツ性と快適性の両立
LGNの最大の強みは、リバウンドストロークを確保しつつ、スプリングを適正なレートへと変更することで、車高や取り付け位置の調整を可能にする点です。このプロセスは、単なるローダウンに留まらず、走りの質を向上させるためのカスタムへと通じています。これまでにもLGNの利点について、リバウンドストロークやスプリングの重要性について、何度もブログや動画で取り上げてきましたが、今回のTriumph Tiger Sport 660がその本質をより明確に教えてくれました。
2. Triumph Tiger Sport 660の特性とLGNの進化
Tiger Sport 660は、もともと素性の良い車両であり、純正状態でも極めてバランスが良好です。そのため、適切に調整し、カスタムすれば、さらなる楽しさが引き出せると直感しました。このようなアドベンチャー系のバイクはストロークが長いため、乗り心地を損なうことなくローダウンが可能だと判断しました。今回の開発テーマは、快適性を最優先にしながらも、スポーツ性をどこまで高められるかに焦点を当てています。
結果として、Tiger Sport 660は、街乗りからツーリング、峠道に至るまで、すべてのシーンで優れたハンドリングを発揮できる車両へと進化しました。このバイクを通じて、LGNが単なるローダウンではなく、走りを楽しむための「走りのカスタム」であることが明確に証明されました。
3. ローダウンから走りのカスタムへ
お客様の多くがLGNを依頼される理由は、主に足つき性の向上を目的としています。しかし、LGNは車両預かりで22万~25万円程度の費用がかかるため、単に足つき性の改善だけでは高額な費用に見合わないと感じるかもしれません。そこで、LGNはローダウンと同時にハンドリングの改善や走りの楽しさを提供するものだと位置付けました。実際にLGNは、スプリング交換による「走りのためのカスタム」であり、その副次効果としてローダウンが実現されるのです。
今回のTiger Sport 660でも、快適性を高めつつ、スポーツ性を向上させたことで、走りが劇的に変化しました。お客様にとっても、LGNは「ローダウン」という表向きの目的以上に、走りを楽しむためのカスタムとして評価されるべきだと考えています。
4. 今後の展望
今後も、LGNの可能性を追求し続けます。部品開発やセッティングの精度を高めるため、サーキット、ツーリング、街乗りなど多様なシーンで自社所有の車両を用いて継続的にテストを行います。LGNは、単に足つき性の向上を目指すカスタムではなく、走りの質を追求するためのカスタムとして、その存在価値をさらに高めていきます。
これからも、より多くの車種やシチュエーションに対応するLGNの開発を進め、走りそのものに魅力を感じている皆様へ「走りの楽しさ」を追求したカスタムとしてLGNを提案していきます。