タイアを観察し、性能を測り知る
タイアに求められる性能を考えてみます。
インナーネットで「タイア 要求性能」と検索すればブリジストンのページに7つの性能が記されています。好天時のグリップ、雨天時のグリップ、耐久性、静粛性、乗り心地、燃料消費と直進安定性です。
上にあげた性能は分かりやすい代表例でしょうが、それぞれはより細かく腑分けして性能評価を行います。私が特に気にしているのは乗り心地と操舵性・旋回性能です。
タイアもサスペンションと同じような要求を受けています。それはタイアの剛性が高い(硬い)と最大荷重は上がり受け止められる容量も大きくなりますが、硬いので音も振動も大きくなり乗り心地は悪化します。なればオフロード車のようにストロークを長く取れば柔らかいタイアでも吸収力は上がります。それはつまり扁平の大きなタイアを意味します。しかし現代のホイールは大径化に加速が掛かり17インチでも満足できずに20インチも当たり前な状況です。
私の考えでは17インチくらいが見た目も扁平もちょうど良さそうに思います。乗り心地(耐衝撃性)だけを考えるなら、扁平の大きな方が良い、それはタイアのストロークが長くなるからです。
ホイールを大きくすればブレーキディスクも大径化が容易なため、その影響も強くあるようです。扁平が小さいと操舵に対する応答遅れが小さく、高い応答性を得られます。転舵の際にタイアの応答性が適当であれば、非常に気持ちの良い反応がハンドルを通し手に伝わって来ます。
昨日は横浜までZZR1200を納車にキャラバンで出かけました。タイアの寸法や車の作りもありますが、当社のキャラバンは高くとタイアの向きに位相があるようです。自分で考えるよりも舵を切らなければ曲がりません。
操舵性と旋回性能ですが、サイドが垂直に伸びトレッドへ垂直に伸びたような、角刈りのような形状のタイアがあります。これは剛性が高く想定の範囲内、限界内では切れ味の鋭い運動性を発揮しますが、分水嶺とでも言うべきか、限界内と外の境界があまりに明確です。グーっと耐えた後でスパッとタイアが滑りだすような印象です。これが風船型とでも呼ぶのかバルーンタイプでは、限界内から外へと綺麗に移行してゆく感覚が自然で、私の好みは完全に後者です。
タイアのインチサイズ、扁平、幅、形状をみれば何となくでも、タイアの持つ方向性やハンドリングをその外観から想像できます。それが上屋(バネ上としての車)に合っているのかを考慮しながらタイア選びをすれば、より上質な乗り物になると思います。
これはバイクでも同様です。ツーリング向けのゆったりした作りのバイクにツーリング向けのタイアならば、相乗効果でとてもゆったりする。反対にスポーツ向けのタイアならば、タイアで少しシャープな特性を出し、スーパースポーツとツーリングの中間域を作り出す。
車両がスーパースポーツならばこの逆です。少し穏やかな特性のタイアを選択すれば、少々腕の劣るライダーでも大胆に攻め込む事ができます。積極的なスポーツライディングに大切なのは絶対的なグリップ力ではなく、ライダーが安心して操作できる優しく懐の深い特性だと、56レーシングとの活動を通し理解できました。