ブリヂストンのT32をGSX-S1000刀で公道試走

 先日、那須スポーツランドで試したブリヂストンのT32ですが、丁度お客様の車両についており、しかも同じ寸法(フロント120、リア180で前後とも17インチ)であり「これは試乗して皆様に印象を伝えたい」との思いから動画とブログに認めます。

ツーリングタイアの特性を再確認。

 動画はこちらからご覧ください。

 サーキットでも公道でも同じ印象で、それは以下に列挙します。
1 タイアからの情報量を希薄に感じる
2 フロントタイアのグリップは感じ取りづらいが十分である
3 リアタイアは存在感が希薄で、フロント以上に情報が伝わってこない

 上記の3点が主な印象ですが、セッティングで解消できるのか?という題材とともに試乗を行いました。サーキットを走ったトライアンフ・スピードトリプルよりも重量のあるGSX-S1000刀で街乗りを試しても、やはりリアタイアが一番の課題に思えます。

 そこでサスペンションによる調整で解消する手法も考えましたが、ストレートに「タイアの課題はタイアで解決する」べく、可能な調整である空気圧を変更しました。

 以前にタイア卸業者の方から「ツーリングタイアは二人乗り、荷物満載のツーリングも開発要素として重要なため、スポーツタイアよりも硬い事が多い」と教えてもらいました。

 実際にこのT32もその様です。ケース剛性が高いためにふわっとした柔らかさがないので、空気圧を下げました。私は空気圧調整をバネ定数(またはイニシャル)の変更に近い感覚で変更を行っています。

純正の190から街乗りで扱いやすい180にしてあります。

 果たして、狙い通りだいぶ扱いやすさが増して、倒し込んでゆく最中の安心感が出てきたのと同時に、路面の凹凸を柔らかく逃します。

 ここでの空気圧は走った後の測定で2.5Kでした。

 更に面白い事にこの手の車両ではリアタイアの空気圧が高めになることが殆どですが、今回の試乗ではリアの方が(フロントとの相対比で)下がりました。

 具体的にはF2.6,R2.5(走行直後の温感時)です。

 空気圧は上げたほうがサラッと曲がりやすくなる事が多く、フロントと比較して大径のリアタイアの空気圧を上げて前後の帳尻を合わせる事が多いようですが(私は基本、前後同じ空気圧を好みます)、今回はリアを下げたほうが心地よかった。

 これはとても面白現象です。なぜかと考えるにGSX-S1000刀は旧型に特性が似通っており、バイクの重心が前上方に感じます。そこでフロントの空気圧を高めにした方が粘り気のないあっさりした操舵性になるのでは無いでしょうか。

 このあたりは推論なので間違っている可能性もありますが、前後タイアの空気圧は固定せず柔軟に変更して自分の好みを探すのが良いのだと、車両から示唆されたよう気持ちです。

 現代において意外なほど個性的な操舵性をもつカタナ。

 ついついカタナの試乗記のような成りましたが、話を本題に戻すとT32は空気圧の変更で柔軟に車両へ合わせることができそうです。

 ただし旋回中の情報量を多く欲しがる方には向いていないようです。逆に走りに注力するのではなく、ゆったりと景色を楽しみつつ必要十分なグリップがあれば良いと望むライダーには適しています。

 実際にサーキットを走って問題などは発生しない(こんな事は当然ではありますが)ので、耐久性や価格面を重視する方には推奨します。

 という訳で今回はここまでです。

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