【タイヤの評価基準】とミシュランの【パイロットパワー2CT】

ミシュラン Pilot Power 2CT:突出ではなく「均衡」で評価が上がるタイヤ

序論

かなり昔から愛用しているミシュランのパイロットパワー2CTが、今回の話題です。冒頭にある程度のまとめを記しておきます。

動画でも紹介しており、興味のある方はこちらもご覧ください
またホンダ・HAWK11にもパイロットパワー2CTを組付けました。こちらもかなり好印象だったのを報告しておきます(2025年6月追記)

サスペンションに限らずタイヤも、突出した性能より各種のパラメータが高い水準で均衡すると、評価も自ずと高くなる――というのを再認識した試乗でした。

試乗を行った車両はヤマハのMT-01です。

 タイヤの評価基準

 私がタイヤを評価する際の基準を上位から紹介します。

 1 硬さ 得点 18/20
 2 トレッドのラウンド形状 16/20
 3 空気圧に対する反応(変化)15/20
 3.1 路面からの情報量 18/20
 4 接地力 17/20
 合計得点/平均得点 84/16.8

 順に説明します。

1. タイヤの硬さ

タイヤのケース剛性です。タイヤはトレッド(接地面)とサイドウォールなど、全体として剛性を作り出しますが、各部で役割が違います。

例えば昔から存在するバイアスタイヤは構造上、全体が均等な硬さを持ちます。対してラジアルタイヤは各部の役割を明確にし、硬い場所と柔らかくする部位を分け、より高性能を目指し作られました。

しかしバイアスっぽいラジアルタイヤもあり、多様性に富んでいます。その中で私は比較的ケース剛性の柔らかいタイヤを好みます。その理由は低い速度域でも柔軟に変形し、低荷重でも高い接地性を保ちやすいからです。

速度域が上がるほど、または荷重が高まるほど剛性が必要になります。私は一人乗りで街乗りや峠道で良い感触のタイヤを求めるため、左記の要項が自分に一番あっていると感じるのは同タイヤです。

最大グリップや旋回性を求めるなら、もっと性能の高い製品もありますが「街乗りから峠道を一人乗りで」という限定した状況を想定したときの答えがこのタイヤな訳です。


2. トレッドのラウンド形状

つまりタイヤのトンガリ具合です。緩やかで大きな円を描くトレッド面はゆったりした動きで直進安定性が高く、主にツーリング向けです。

程よいラウンド形状。

反して旋回力を高めるには中央から端まで尖っているほうが向いており、鋭敏な動きでヒラヒラと軽く動きますが、安定感が乏しく直線を長く走り続けるとやや疲れる傾向。

同タイヤはこの辺りの設定が絶妙で、程よく丸く程よく尖っておりツーリングでも疲れませんが、サーキットでもそれなりに楽しさを感じ取れます。

完全なツーリングタイヤでサーキット走行をすると、グリップ力の高低を脇に置くとしても、楽しさが乏しい。この辺りはバイクの目的が何かを明確にすれば、選ぶタイアも自ずと決まるので何が正解なのかは人それぞれであり、ある意味中途半端なこのタイアが主役を張れるのは公道ではないかと思います。


3. 空気圧に対する反応

ケース剛性が硬すぎないため、パイロットパワー2CTは反応が良いでしょう。ツーリングタイヤは二人乗り、荷物満載でもへこたれない硬さが求められます。そのため空荷状態だと変形させるのが難しいのです。かといって積載が少ないから空気圧を下げたとしても元来のケース剛性が邪魔をして、空気圧でコロコロと印象を大きく変えられません。

その点、2CTはケース剛性がほどほどなために高い空気圧だとパリッとした印象で、逆に低めだと柔らかく乗り心地が良くなります。悪い言い方をすれば空気圧に神経質な面があるとも換言できますが、実際はそこまで頭を悩ますことはありませんでした。


3.1 タイヤから上がってくる情報量

後に追加した項目のため3.1としています。

前後からの情報量が均等に近く、量そのものも豊富で文句なしの性能です。例えばフロントタイヤだけの情報量の多さであればS22とQ5の方が上です。しかし前後揃ってとなるとPP2CTに軍配が上がります。

これに関しては量そのもの、前後のバランスなども関連するので複雑です。


タイヤを替えても印象が変わらない時、原因は「足回りの条件」です(追記)

Pilot Power 2CTのように「空気圧の変化が出やすい」「情報量が豊富」なタイヤは、路面状況だけでなく、足回り側の“条件のズレ”も正直に見せます。
そのため、タイヤを替えたのに印象が安定しない場合、タイヤそのものではなく、前後バランスや抵抗(フリクション)がボトルネックになっていることがあります。

たとえば、次のような症状がある場合は要注意です。

  • 空気圧を触っても、良い方向に落ち着かない(迷いが増える)

  • コーナー進入で怖さが出る/切れ込む/逆に曲がり込まない

  • ギャップで跳ねる、接地感が途切れる(前だけ/後ろだけが強い)

  • タイヤの情報が多いのに、バイクの動きが読めない

タイヤの評価が高いほど、足回り側の整合が取れた時の“伸びしろ”も大きくなります。


4. 接地力とは

いわゆるグリップ力ということです。しかし昨今のツーリングタイヤでもグリップ力自体はかなり高水準であり、そうなればこそ、街乗りならば過度にこれを追い求めるのは不要との判断から評価順位は最低位としました。

勿論ですが、サーキットならグリップは高いほうがタイムは良くなります。しかし走る楽しさとグリップ力に相関関係はあると思いますが、私の経験則ではある程度の水準を満たせば、面白さとの比例関係は薄れる、というか必要条件では有るが絶対条件では無いように思えるのです。

先日もブログと動画にしたブリヂストンのS22ダンロップのQ5は明らかに後者の方がグリップが高く面白味はありましたが、それは90点と95点ほどの差であり、ツーリングタイヤで走るサーキット走行の満足度は80点以下でした。

逆にハイグリップタイヤで長距離ツーリングの満足度はそれほど高くないだろうし、ツーリングタイヤなら疲労の軽減等も含め評価が高くなるのは想像に難くありません。

タイヤ交換中のMT-01。活躍してくれました。

5. ウエットグリップとシーランド比(タイヤの溝に関して)

上に載せている写真をご覧いただければ、パイロットパワー2CTの溝が特徴的な点に気づきます。スポーツタイヤとして、今となっては珍しい溝が端まで途切れずにあります。

これは当然、剛性も下がるためエッジグリップも低下する要因となります。しかし現代目線ではやや大きな溝のおかげで、雨天時のグリップ力はかなり高く、私自身は豪雨のエビスサーキットを100周ほどテストした経験を持ちますが、まったく不満がなく、安心して走ることができました。


6. 剛性が低いメリット

1と5に関連していますが、街乗りで一人乗り、常識的な速度で走ることを考慮すれば、サーキット向けのタイヤは乗り心地とグリップ性能ともにその設定範囲があわないため、楽しめないことが多いと感じます。

ただし1のケース剛性と5の溝が多いことで剛性が下がりグリップ力が低下するのは「=」でも「≒」でもなく、まったく別の話です。1はケース剛性が低いことでグリップ力を高めようとする手法であり、5は溝を多くし雨天グリップを高めるため結果として剛性が下がり、晴天時にはマイナス点になります。

しかし1と5が合わさり相乗効果で結果としてライダーが受け取る感触が良くなることもあると推察します。


おわりに

というわけで、私が一番気に入っているタイヤのミシュラン・パイロットパワー2CTの紹介でした。


【足回り適合診断(3分)】

タイヤの性能を活かすには、足回り側の条件(前後バランス・抵抗・初期作動)が揃っていることが前提になります。
「タイヤを替えたのに接地感が安定しない」「空気圧で迷う」「コーナー進入が怖い」等がある場合は、まず適合可否を整理します。

LINEまたはメールに、下記をコピペして送ってください(見積りではなく“適合可否”の確認です)。

  • 車種:

  • 体重(装備込み):

  • 用途:街乗り/ツーリング/峠/サーキット体験(いずれか)

  • タイヤ:銘柄(例:Pilot Power 2CT)+空気圧(普段)

  • 不満点:沈まない/跳ねる/怖い/接地が薄い/その他

お問い合わせ(SGF)

  •  

※メーカー保証に関しては取り扱い店、ディーラーにより対応が異なるため、購入店またはお取引のある店舗へご確認ください。

1 Comment

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TAKAPONreply
2024年7月11日 at 9:38 PM

初めまして。
YouTubeを含め、いつも興味深く拝見させて頂いております。
不躾で御座いますがご相談をお願い致します…
当方、隼(GX72A)に乗っておりますが
新保様のおすすめタイアはございますでしょうか?
現在は、メッツラーZ8Mを履いておりますが
「もう少しグリップが良い物」と思い、この「2CT」を検討しております。
が、あれこれ思い考えてるうちに
「M7RR」「ロッソ○○」とよく分からなくなって参りました。

当方の乗り方は、1~2時間程度の山道走行がメインです。
車両重量を考慮すると2CTは不向きなのか
他のおすすめのタイアが御座いましたら
アドバイス頂きたくお願い致します。

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