【タイアの評価基準】とミシュランの【パイロットパワー2CT】

 かなり昔から愛用しているミシュランのパイロットパワー2CTが、今回の話題ですが冒頭にある程度のまとめを記しておきます。

 まとめ
 サスペンションに限らずタイアも突出した性能より、各種のパラメータが高い水準で均衡すると、評価も自ずと高くなるというのを再認識した試乗でした。

 タイアの評価基準
 私がタイアを評価する際の基準を上位から紹介します。

 1 硬さ 得点 18/20
 2 トレッドのラウンド形状 16/20
 3 空気圧に対する反応(変化)15/20
 3.1 路面からの情報量 18/20
 4 接地力 17/20
 合計得点/平均得点 84/16.8

 順に説明します。

 1の硬さとは、タイアのケース剛性です。タイアはトレッドと呼ばれる接地面とサイドウォールなど、全体として剛性を作り出しますが、各部で役割が違います。

試乗を行った車両はヤマハのMT-01です。

 例えば昔から存在するバイアスタイアは構造上、全体が均等な硬さを持ちます。対してラジアルタイアは各部の役割を明確にし、硬い場所と柔らかくする部位を分け、より高性能を目指し作られました。

 しかしバイアスっぽいラジアルタイアもあり、多様性に富んでいます。その中で私は比較的ケース剛性の柔らかいタイアを好みます。その理由は低い速度域でも柔軟に変形し、低荷重でも高い接地性を保ちやすいからです。

 速度域が上がるほど、または荷重が高まるほど剛性が必要になります。私は一人乗りで街乗りや峠道で良い感触のタイアを求めるため、左記の要項が自分に一番あっていると感じるのは同タイアです。

 最大グリップや旋回性を求めればもっと性能の高い製品もありますが「街乗りから峠道を一人乗りで」という限定した状況を想定したときの答えがこのタイアな訳です。

 2 トレッドのラウンド形状ですが、つまりタイアのトンガリ具合です。緩やかで大きな円を描くトレッド面はゆったりした動きで直進安定性が高く、主にツーリング向けです。

程よいラウンド形状。

 反して旋回力を高めるには中央から端まで尖っているほうが向いており、鋭敏な動きでヒラヒラと軽く動きますが、安定感が乏しく直線を長く走り続けるとやや疲れる傾向。

 同タイアはこの辺りの設定が絶妙で、程よく丸く程よく尖っておりツーリングでも疲れませんが、サーキットでもそれなりに楽しさを感じ取れます。

 完全なツーリングタイアでサーキット走行をすると、グリップ力の高低を脇に置くとしても、楽しさが乏しい。この辺りはバイクの目的が何かを明確にすれば、選ぶタイアも自ずと決まるので何が正解なのかは人それぞれであり、ある意味中途半端なこのタイアが主役を張れるのは公道ではないかと思います。

 3 空気圧に対する反応はケース剛性が硬すぎないため、パイロットパワー2CTは反応が良いでしょう。ツーリングタイアは二人乗り、荷物満載でもへこたれない硬さが求められます。そのため空荷状態だと変形させるのが難しいのです。かといって積載が少ないから空気圧を下げたとしても元来のケース剛性が邪魔をして、空気圧でコロコロと印象を大きく変えられません。

 その点、2CTはケース剛性がほどほどなために高い空気圧だとパリッとした印象で、逆に低めだと柔らかく乗り心地が良くなります。悪い言い方をすれば空気圧に神経質な面があるとも換言できますが、実際はそこまで頭を悩ますことはありませんでした。

 3.1 タイアから上がってくる情報量
 後に追加した項目のため3.1としています。

 前後からの情報量が均等に近く、量そのものも豊富で文句なしの性能です。例えばフロンタイアだけの情報量の多さであればS22とQ5の方が上です。しかし前後揃ってとなるとPP2CTに軍配が上がります。

 これに関しては量そのもの、前後のバランスなども関連するので複雑です。

 4 接地力とはいわゆるグリップ力ということです。しかし昨今のツーリングタイアでもグリップ力自体はかなり高水準であり、そうなればこそ、街乗りならば過度にこれを追い求めるのは不要との判断から評価順位は最低位としました。

最新のタイアよりもリアタイアの情報量が多いと感じるのは、私だけでしょうか。

 勿論ですが、サーキットならグリップが高いほうがタイムは良くなります。しかし走る楽しさとグリップ力に相関関係はあると思いますが、私の経験則ではある程度の水準を満たせば、面白さとの比例関係は薄れる、というか必要条件では有るが絶対条件では無いように思えるのです。

 先日もブログ動画にしたブリヂストンのS22とダンロップのQ5は明らかに後者の方がグリップが高く面白味はありましたが、それは90点と95点ほどの差であり、ツーリングタイアで走るサーキット走行の満足度は80点以下でした。

 逆にハイグリップタイアで長距離ツーリングの満足度はそれほど高くないだろうし、ツーリングタイアなら疲労の軽減等も含め評価が高くなるのは想像に難くありません。

タイア交換中のMT-01。活躍してくれました。

 というわけで、私が一番気に入っているタイアのミシュラン・パイロットパワー2CTの紹介でした。

 

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