CB650Rの簡易試乗から車両の基本特性をみる
フロントフォークの改造依頼があり車両を預かっています。
フロントフォークの課題と問題点を把握するために試乗を行いました。そこでフロントフォークとリアショックの特性だけでなく車両特性に関してもある程度の理解を得たので報告致します。
リアショックがナイトロンに変わっていますので、純正状態でないことを前提として話を進めます。
車両の基本特性
ここから話を各部のショックへ移してゆきますが、そのまえに骨格となる車両の話です。
一番重要な点は腰高な点です。腰高といってもその特性は2つあります。
1 リアの車高が高い これは分かりやすいでしょう。リアが高く、その反作用としてフロントが重くドッシリとします。もちろんリアの落ち着きは弱い傾向にあります。
2 着座位置が高い 近年の車両はこのような傾向にあります。ホンダのCB1000RやヤマハのMTシリーズがコレにあたります。
Ninja1000は1に該当します。
という訳で1と2に腰高を分類するとしたなら、CB650は2にあたります。リアの着座位置が高く落ち着きません。これはリアショックの車高を下げることでは解決できないため、根本を正すなら(正すとは私の考える良い状態という意味ですが)シートを削る必要があります。それでも着座位置の下げ幅が追いつかないとしたら、それは改善出来ないので諦めるかそこから改善策を練るしかありません。
フロントフォークの基本特性
乗って動きを推察すると以下に事がわかります。
1 動き出しは柔らかい
2 奥は突っ張る(硬い)
3 ストローク量が少ない
1はバネ定数の低さを表します。イニシャル量が足りない(バネは硬いが初期圧縮が少ない)とも考えられますが、ストロークに応じて反力が立ち上がらない事を考慮すると、二段バネか定数が低いと判断します。
2の奥での突っ張りは、油面の高さが原因ではないか。そう判断する要因はストローク位置が奥になると急激に動きが止まります。バネ定数が原因ならば1でも書いた様に反力が徐々に高まる手応えを覚えるはずです。それがないのは油面の高さだとわかります。
3ストロークの少なさは、1と2の結果です。動き出しが早く油面が高いので実際に使えるストローク量が減ります。
私はこれを実ストロークが少ないと表現します。メーカー設定値のストロークに対し乗って実際に役に立つストローク量を表します。
改善策
ありきたりな手法ですが、車両と用途に適したスプリングレート、減衰特性と油面の高さを選べば良くなります。
フロントフォークの特性、質を向上してもそれだけでは片手落ちです。車両の基本特性とフロントフォークの特性を別々に評価し、どうすれば車両特性を向上させられるのか?という観点から取り付け高さ(突き出し)やバネ定数も考えます。
とい訳で今回は車両の基本特性とフロントフォークについて言及しましたが、次回はリアショックのナイトロンと、それらを含めた車両特性の向上を焦点にした内容を書き記すつもりです。
おまけ
今回はリアショック以外は基本、純正ですがバックステップ(現代ならアップステップと言う方が正しいかもしれませんが)へ交換したくなります。ポジションは悪くありませんので、ペダル類の動きの質を上げたり、固定式ステップバーで得られる剛性の質。あと段順に格好良いので、好きなんです。
モリワキはシフトべダルとステップバーが同軸ではないため、靴の裏とペダルの動きに差が生まれます。
ポジションが固定なのは好みを実現し辛いといえますが、逆に一体型のしっかり感は良い部分が多いので、下にあるストライカーとは対極の品です。
ストライカーはモリワキと違い、ステップ軸と同軸なので動きは良いと思います。ポジションも選べるため、良い点が多い。
その反面、可変位置のステップは左右への張り出しが大きくなるし複合体なので剛性がやや落ちます。
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[…] 以前の記事で基本特性を取り上げましたが、今回はフロントフォークを分解して実測した数値と試乗した感触を符号させてみます。 […]