シリンダーヘッドを製作した意味。
今回の高価な部品をわざわざ作った意味は、小型化を第一に考えました。ヘッドに全てを集約できれば余計なステーを省け、軽量化にもなります。副産物として、小型化によりオイル経路がとても短く、そこで減衰を生むことなく設計値により近い動きを実現できます。車高調整以外の部品をヘッドに集めたので、FFXやTTxと同様にダイアルを回すのにも手が汚れづらく洗練された構造です。
減衰の調整はニードルによる環状隙間型なのですが、伸び圧共に高速用のピストンとシムを備え、高度化されています。左記のユニットにはワンウェイバルブが存在することにより、ダイアル調整時に減衰が干渉するのを、極力低減することが可能です。
ここまでの物を作るなら、ツインチューブにすれば良いと考える事もできますが、旧来のシングルチューブの発展系なので、お客様が今お持ちのダンパーをアップデート可能とし、外見も性能も満足させてくれます。
もちろんデメリットもあり、ガス室の容量が小さいので、太いロッドの長いストロークには向いていません。アッパーエンドアイの周辺に空間が無ければ取り付け不可能ですから、全ての要件を満たしてはいませんが、今までに無い新しい製品をお客様に届けられる事実に、製作者として大きな満足を得ています。