呼吸を感じる
J,Sバッハの無伴奏チェロ組曲が好きです。あまり多くのバリエーションを聴いたことはありませんが、ヨー・ヨー・マさんを始めに買い、友人が昔のガット弦で演奏したCDを貸してくれたりと、幾つかは聴いてみました。
17年前に音楽学校へ通っている時、そこの同級生だった人が「ヨー・ヨー・マは演奏に呼吸の音が入っていて、譜割りではなく呼吸で演奏するから生々しい」と言っていました。私自身も同様の記事を雑誌に認めました。
最近、深夜帰宅途中でNHKのラジオ深夜便を聴いていたら、ヨー・ヨー・マの演奏が流れてきました。10数年ぶりに聴いたその演奏は、私の興味を離れていました。なぜか考えたのですが、この数年間で私の中で無伴奏チェロ組曲のスタンダードは、清水靖昇さんに変わっていたためでした。サキソフォンは吹奏楽器なので、息が直接演奏になります。その呼吸の間と、録音環境に影響された音色は私に丁度良く嵌りました。
思いを巡らせると楽器の中でサキソフォンの音が一番好きであり、それを決定づけたのは、ロニー・ロウズさんのブラザーフッドです。このCDは勤めていたバイク便があった、神保町のCD屋で買い求めた品です。俗にいうジャケ買いのCDで、大げさでなく何千回も聞いているものです。特に8曲目の表題「Brotherhood」は心地よい陶酔感を得られます。何度も繰り返すのがその要因かも知れません。余談ですが、B'zにも同じ題名のアルバム、曲があります。
心地よい音楽を聴くと同時に、心地よい二輪車、四輪車の乗り味は音楽と同義だと感じています。それは陶酔感をもたらすからだと思います。従って、好きな音楽を聴きながら好きな景色のなか、最高の車に乗っているのがこの上ない喜びです。その点、音楽を聴けない2輪車は若干劣ります。
最近はヘルメットにスピーカーを仕込んで、音楽を聴くこともできるようですが、私はそれをしません。自身にとって、二輪車はスポーツよりも剣道や柔道のような道なのでしょうか。求道者であるならば余計な物を省き、バイクの動きに最大限注意を払い、自分の操作技術に集中するにはそれが一番良い環境です。それは詰まり、4輪車に対して私が求める物は、違った要素だとも反証しています。