相対性理論で遊ぶ

 子供の頃から科学は好きでした。

 相対性理論は言葉の響きだけでも十分に魅力的で、概要だけでも知りたいと思い10代の頃に本を買い求め、何度も読み返しました。

 アルバイトの金岡は物理学を学んでいるため、彼にも度々、科学的な事に関して質問をしています。彼曰く”特殊相対性理論は中学生でも理解できる内容だが、一般相対性理論はしっかり理解するには専門的な学習が必須”だそうです。

 細部までは理解できなくとも、概要を知ると知らぬでは大きな差があります。こういった本を読んでいた事が、車両運動を理解する切っ掛けになっているのかも知れません。数式で理解できれば細部をより、緻密に知る事ができるのでしょう。残念ながら私の理解はそこには至りませんが、逆に大枠を捉え問題箇所を特定する能力は備わっているように思いますので、それぞれの才能という事で、今は前向きに自分の立ち位置を捉えています。

 昨晩は金岡とポリウレタン結合について少し会話を重ねました。ウィキペディアに載っている内容を、彼に伝えたところ概要を理解したようです。私にはさっぱりわかりませんでしたが、とても大雑把に言えば分子同士の結合の形だそうです。
 なぜポリウレタン結合の話題になったかといえば、オイルシールの材質について質問を受け、ニトリルゴムとポリウレタン系がどのようにダンパーに差をもたらすかを説明した後で、ポリウレタンて何?となったからです。

 どの分野も極めるのは大変ですが、材料に関する分野も奥が深く、真理は深淵の彼方です。

 気になって「相対性理論」はイタリア語でどのような言い回しになるのか調べてみると「Teoria della relativita'」とあります。直訳すると「関係性、相対性の理論」となります。相対=relativita'なのですが、このレラティヴィタとは関係性と訳される事の多い語です。つまりは相対性理論は「関係性の理論」とも捉える事ができると知り、少々面白く感じました。
 相対性と何だか難しそうに感じる言葉も、より口語に近い”関係性”と言い換える事で、感覚的に理解が容易になるのではないかと思います。

 話題もどんどんそれますが、科学とはサイエンスの訳語です。サイエンスはイタリア語でScienza(シエンツァ)と言います。これはラテン語源ですが、その元来の意味は知識だそうです。つまり科学的とは「人間の知識の集大成」であり、人間主観のない絶対真理ではないという事です。常にこれを意識して、科学を疑う姿勢を持たねば盲信的な信者と同じく道を違えることになります。なので、私は常に科学を疑っています。かのアインシュタインも多くの間違いを自ら訂正しています。

 話はサスペンションへ飛びます。サスペンションセッティングにおいても、この関係性、相対性は極めて重要です。通常バイクは前後の二輪、車は四輪があり、独立懸架の場合はそれぞれにサスペンション機構が備わります。
 これらは独立して成立しません。前輪と後輪は関係性を持ち、四輪であれば左右輪においても関係性も持ちます。前後、左右の関係性はさらに地面という絶対値に対して関係を持ち、その関係性において帳尻を合わせるのがセッティングです。

 サスペンションセッティングとは、詰まるところ地面という絶対値に対し、それぞれのタイア(もちろんバネ上を含む)をどのように関連付けるかという点にあります。ですからバイクにおいては前後サスのバランスにだけ焦点を定めると、とんでもない間違いを犯します。地面(路面)を常に忘れてはいけません。
 路面と接するタイアに、それが許容する最適な荷重を掛け続けられるかどうかが、セッティングの良し悪しとなります。

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