ロッドガイド改造、KONIとNZ250
今日のお題はガイドブッシュの加工についてです。
なぜガイドブッシュがないのか?
現行車種でも稀に見かける事はありますが、ロッド(フロントフォークのインナーチューブに相当)を保持するロッドガイドと呼ばれる部品にブッシュ(ドライベアリング)のない製品があります。
過去にはこの様な仕組みのダンパーは多数ありました。現行ではベアリングが採用されるのに以前はなぜ使わなかったのか?この点について私は二つの推測を持っています。1点目は学術書に乗っているので間違いないと思いますが、このロッドガイドを焼結材と呼ばれる金属粉を焼き固めた品を使う事で、潤滑性を確保する事でオイルにベアリング効果を期待した場合です。
ではなぜ焼結材に潤滑性を期待できるのか?ですが、パッと見では分からないと思いますが焼結材は隙間だらけの構造です。金属ではありますがその隙間から液体(もちろん気体も)は通り抜けます。つまり構造体がオイルを保持し、ロッドとロッドガイドの間には常にオイルが存在するために、摩耗を遅らせることができるのです。
ただしこの仕組みを用いる場合は、ロッドガイドをオイルシールより内側に置かなければなりません。ですが驚くべき事にオイルシール よりも外側に置く例も知っています。つまりこれは誤用だと思いますが、法律で決まっている訳でもありませんので、責める必要もありません。
ガイドブッシュを加工して圧入
上記の焼結材を用いた潤滑方法の他には、ベアリングを用いた手法が一般的です。これは滑りの良い材質を使い、オイルなどの潤滑環境下でなくとも滑りを保証する物です。これをオイルの中で使うのが一番良いのです。
と言うことで焼結材を切削加工しガイドブッシュを圧入します。この穴径拡大加工は難易度高めの加工です。許される(と言うより私が許せる)加工公差は±1/100mmです。バイトの先端を尖らせ5/1000mmの切削も可能にし、数度に分けて加工を行います。
この加工によりロッドの摩耗を抑え、ガタ付きを減らし作動性を上げられます。簡単に言えば乗り心地を良くして、なお耐久性が良くなります。
KONIや古いショックには追加料金は必要ですが、是非行ってもらいたいと思います。