世界を変える場所的経営

 前川製作所の会長さんが書いた本を読みました。

 世界を変える場所的経営

 東京MXTVで放送されていた西部邁ゼミナールにおいて、10年ほど前になりますが、前川製作所の会長が本とともに紹介されており、動画に感化され書籍も購入しました。今でもその動画や本は読み返しています。

 この動画や書籍で語られたことは、要約すれば中小企業は生き残ることが優先されるため、競争を避け無競争の場であれば生存確率が高まる。という内容でした。ある部分ではランチェスター戦略と共通する部分があります。

 仕事や求められる事は「場」により変わるというのは、二輪、四輪においても同様です。初めてイタリアへ行った際にローマの石畳を見て驚きました。当たり前に数多くの二輪車がその上を走ってゆきます。あれだけ路面が悪ければスクーターに14インチの大径ホイールが欲しくなるし、モタードのような足の長い街乗りバイクは重宝されるのも納得です。

 私自身はイタリアの道路で車を走らせた経験はありませんが、アウトストラーダ(Auto Strada 高速道路)はかなり路面が悪いそうで、乗り心地のよいセッティングが求められるようです。

 出身地が色濃くでる

 売られている車は、その出身地が色濃く反映されているます。テストコースの作り、想定される使い方やセットアップの前提となる町並み。これはつまりどこの「場」から生まれたのかと言う事です。私どもの所在地は千葉県の柏ですが、試乗路は近所の曲がりくねった路面状況の悪い道、ツーリング先で見られるような視界の悪い農道。それに首都高のような路面の悪い(とはいっても最近は路面が回収され良路になりつつある)が速度が乗る「場」から生まれたセットアップです。

 ここから出来上がるサスペンションは様々な状況でも路面を掴んで話さない、当社の技術的指標であるロードコンタクトテクノロジーと呼ぶ路面に吸い付くようなセットです。

 極端な話、このセットをモトクロス場に持ってゆけば成立しませんし、またサーキットに持っていっても最高にはなりません。日本の高速道路を含む一般道に最適化した、又はさせるべく仕上げたものだからです。

 グローバル化は平均化

 「場」に即した仕上がりが重要であるとするなら、その観点を是とするならグローバル化は真逆の思想、極端な表現では愚の骨頂です。それはなぜか?「世界標準」とは「どこにも基準がない」とも言えるからです。もしどこかを「基準として」としなら世界標準・基準としての前提が嘘になります。大きの基準点で最大の評価点を得られるように頑張っているとは思いますが、あちらを立てればこちらが立たず、のように一点における最適化が成立しないのがグローバル化です。

 どこでも最適化されているようで、どこへ持っていっても用に足りない、必ず不満が出る中途半端な代物なのです。少し前の日本性携帯電話はガラパゴス化が進んだ役立たずと言われましたが、ガラパゴスは他の世界と隔絶した独自の進化を達成した「場」です。その閉ざされた世界において進化・発展による最適化・最適解であったのですが、世界基準の意味を理解しない、できない者はガラケーなどと馬鹿にした訳です。

 当社のセッティングはそれらを念頭に置き、「場」に最適となる仕上がりを目指しており、グローバル(玉っころ)化なぞは一切考慮していません。グローバルではなくドメスティック化。直訳では家庭化とされますがつまりはリージョナル(地域)化、ローカル(下町)化と段階的に「場」狭めたり広げることで対応範囲を拡縮し、乗り手の希望に合わせてゆきます。

 このブログの内容は動画にする予定なので、よろしければそちらもご覧ください。

 

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