むむむ・・・これは
栃木県のお店からの依頼で、ハーレーのクアンタムをオーバーホール致しました。
当社はクアンタムの専門店ではないため、全ての部品において純正を使えません。従って加工や汎用品を用いて作業を行います。
このダンパーはとんでもない状態でした。ロッドの軸径は14mmとミリサイズでしたが、それを保持するロッドガイド(他オイルシールやダストシール等)が14.3mmとインチサイズでした。当然14mmに対して0.3mmも隙間があればガタガタです。ステッカーは製作を依頼した専門店なのは知っていますから、製造を行ったクアンタム本社か日本代理店が組んだと考えます。古いクアンタムは14.3mmを用い、新しめの製品は14mmになっています。組み立て時に間違った部品が混入したか、手元になかったので、あえて使用したのかは不明です。どちらにしても通常では考えられない誤りです。未熟な人間が組んだのか、分かっていても部品の都合でこの様な事になったのか、知る由もありません。
普段は他社の批判を公の場では行いませんが、あまりに酷いため全てを伏せて記事を書くのは、良くないと考え同業から批判もあろうかとは思いますが、あえて公表することにしました。ケース丸ごと交換もできないため、大同メタルさんのアドヴァイスに従い、削ることが出来る製品を使い寸法を合わせ込む加工で対処しました。今までは誤魔化してた冶具も、旋盤で削り出し専用品を造りました。
この品は昔喧伝していた、セカンダリーピストンを置くことで減圧できるために、ガス圧を低く抑えられる。と言っていた手法は取られておらず、フリピの下には大きく穴の開いた、傘のような部品があるだけでした。私見を述べると、クアンタムがガス圧を低くしなければならない本当の理由は、元来リザーブタンクを持たない構造のため、ロッドと同軸上にガス室を設ける必要があり、余裕寸法の無い所にガス室を置かざるをえず、最初から高圧ではストロークが増えるとガス反力が高くなりすぎて、使い物にならないからです。この点はダンパ単体ですが、実証実験を行いました。もちろんそれ以外にも、低圧を採用できれば浅いストロークで柔らかな動きを得られる事も上げられます。
当社もオイル漏れや、経験不足から発生する製品不良はあります。その度にお客様にはお叱りを頂きますが、今回の件は製造メーカーの行為とは思えません。
振り返ってみると、FGも時に飛んでもない事をしでかすため、事前に確認をしたり、問題が起こった後に対処することもありますが、十分意図はくみ取れ「粗い仕事してるな」程度で済ませられます。これから私どもも、自社製品を増やそうと考えてるため、とても良い参考案件になりました。この様な事が無いよう肝に銘じます。