コンプレッションアジャスターの仕組み
今日はKissレーシングのFGを組み立てていました。
その時にコンプレッションアジャスターの写真を撮影しましが、見慣れた部品もその構造を知らない方には不思議な集合体にしか見えないと思いますので、簡単に解説してみます。
いくつかの手法が存在する調整方法ですが、リアショック やフロントフォークにおいては2種に大別できます。一つは環状隙間型と呼べる、いわゆるニードル調整です。これは穴の中に針を差し込んでゆき、その円の隙間の変化で流量を調整します。
もう一つは2/3乗型と呼ばれるポートとシムを組み合わせた物です。FGの調整器に限らずほぼ全てのメーカーはこの二種類を併用しています。
なぜ併用するのかといえば、ニードル調整だけでは二乗型いうオイルの流量が増えると漸進的に抵抗が増し、急激に動かなくなるいわゆる「オイルロック」が起こるからです。これを嫌って緩めのダイアル位置にすると、狙った動きを演出できなので本末転倒となります。
そこでブローオフバルブのような2/3乗型を併用することにより、任意でオイルロックポイントを移動させられます。この2/3乗型にも調整を持たせたアジャスターを「低速、高速の調整可能な2ウェイアジャスター」と呼びます。
ただしこのままだと行き帰り(伸び工程と圧工程の両方)で減衰が効きっぱなしになるため、伸び工程では解消(キャンセル)できるように逃がし弁が働き、縮み工程のみ減衰を発生するようになっています。
この機構を伸び減衰調整にも付与したダンパーを、伸び圧合わせた4ウェイアジャスターと呼びます。これはF1などで有名なザックスから始まったように記憶していますが、どこの特許なのかは把握していません。ダンパーの内部は単純な機構を小さな部品に収める事で、複雑に見えるように思います。実際に一つ一つを紐解けば、意外なほどに簡単な作りです。