機械と使い方
ダンパーは部品の集合体です。これらは設計者の狙った性能を正確に発揮しなければなりませんが、それを阻害するのが機械的要素です。
ピストンとシリンダーのクリアランス、ロッドとガイドの隙間など、加工品全てが設計通りに仕上がっていなければ、狙いから外れます。これらは言い換えれば工場の仕事といえます。部品の精度に組み立て精度。ダンパーのエア抜きの加減などです。私はダンパーを度々ブレーキに例えますが、どんなに良いシステムでもエア抜きが十分でなければ、ブレーキは途端に設計上の性能を発揮しなくなります。
ダンパーもこれと同様です。それらの性能が十分に整ったうえで使い方を議論できます。外部から調整するスプリングやダイアル。内部のシム設定などがこれに当たります。
サスをオーバーホールしたり改造していると、常にその事が気にかかります。オーバーホールの精度、ダンパーの設定、その後に実写での調整と、三つの要素がまとまると、良い車両に仕上がると考えて、事にあたっています。ですから、おかしいと感じた設定のダンパーを一所懸命作業していると、内部を変更すればもっと良くなるとの思いも募ります。