普通の人でも理解できる
先週の土曜日に入車したCB1300SF・SC54ですが、持ち主の方は一般的なライダーでした。
本人が仰るには街乗りとツーリングが主で、稀にサーキットを走る。サスペンションのダイアル等は触ったことがない。などサスペンションに対する造詣が深いとは、到底言えない方でした。
いらした時の車体はフロントがとてもしっかりした感触で、リアはパッパッと動き前後のサスペンションはちぐはぐでした。リアをFGに交換しいくらかセットを変更した後で、リアサスがだいぶまとまった為、フロントフォークの変更を施そうと数値を確認したところ、伸び減衰のダイアルは最強でした。このCBのフォークは伸びを変更すると圧も同時に変化しますが、最強付近ではその変化量も顕著です。
そこでダイアルを一回転抜き伸びも圧も抜くことで、軽やかな動きを演出してバイクが「グゥー」や「パッ」ではなく「スイー」と動くようになりました。セッティングに必要なのは、個々のダイアルをどのように動かすかではなく、どのようなバイクを造りたいか、です。同じCBでも街乗りだけか、峠道を楽しく走りたいのか、サーキットを主にするのかで、車体の仕上げ方が変わってきます。従って自分の使い方をしっかり認識したうえで、変更を施せば動きがしっかり理解できるようになります。
仕上がったCBは交差点で安心して曲がれ、コーナーも安定して走る、信頼感と安心感のある車に仕上がりました。ここで持ち主の方に試乗した感想をもらいましたが、「交差点でタイアが路面から離れない感覚があり、他の場面でも乗りやすく、違いがしっかり分かる」との事でした。
このように明瞭なコンセプトを車体にしっかり落とし込めば、自分は良くわからないと思っている方でも、変化を感じ取る事できると考えています。今回はその良い事例となりました。ダンパーにも良し悪しがあり、FGはとても良い品だと思いますが、純正でもほかのメーカーでも乗り味に対する明確な指針を持てば、好みに仕上げるのは可能です。
当社の車体パッケージにおけるデザインを感じて頂き、ご自身のバイクライフに活かしてもらえれば幸いです。