VFR400R/NC30
リアの17インチ化を進めるVFR400Rのメンテナンス準備を行いました。
プロアーム車両の整備はリアスタンドが課題ですが、これまではちょっとした部品で誤魔化しながら作業していました。
しかし、今回はしっかりした部品を作り対応する事に決め、そのように致しました。FGの片持ちリアスタンドにアルミの変換カラーを作り、綺麗に持ち上がるようにします。
アルミカラーの削り出しは、アルバイトの中村に任せます。彼は工業高校出身なので旋盤はまるっきりの初心者ではありません。ですが常に触り続けていたわけではない為、一つ一つに時間がかかります。私が自分で作れば30分も掛からないと思いますが、それではいつまで経っても彼は成長できません。彼は結局、測定から完成まで3時間近くを要しました。アルバイトとは言え社員が成長するのは会社の成長と同義ですから、少しの時間を惜しむよりも今後の事を考えました。
少し前にも削りを任せたのですが、その時は削り過ぎて材料を無駄にし、時間もなかったので外注に出す事になってしまいました。これは想定していた事なので、うまくできたら運が良い程度に考えていました。
今回の部品は単純な竹輪型のカラーですから、しっかりとした手順を踏めば問題なく完成するだろうと考えていました。実際その通りに時間はかかりましたが、満足できる品になりました。このように一つ一つ問題を解決し、上手く行くことで自信を養い、また失敗し叱られながら次の仕事を任せて行くのが人材育成です。
この考え方は落合博満さんの影響かもしれません。任せ失敗したら私が責任をとる。上手く行けば褒めるのではなく、新たな仕事を任せる。
最近の若者は叱るとヘソを曲げたり、拗ねたりすると言いますが、当社で今も働いてくれている若者たちはそのような気配はありません。私が課す作業を失敗し問題を抱え怒られながらも、上を目指して頑張ってくれます。
退社した中には若者もお年寄りもいますが、彼らは私の仕事の手法が合わなかったのかもしれません。時にはもう少し優しく接すればよかったのかと(刹那と言うべき一瞬だけ)思うこともありますが、合う合わないは生き方の問題もあるので、今では「仕方ないかな」とクヨクヨ考えずにおります。
たった一つの部品を作るだけで、多くの事に気づく1日でした。