オールドレンズと旧車の繋がりを感じる
カメラでも手作業が好みだと自覚した今日このごろ、なぜそれに気付いたのかと言えばオールドレンズに触れたからです。
普段はニコンのZ6を軸に同じくニコンのD800をサブで楽しんでいましたが、D800の動作が怪しくなってきたため売却しました。
D800とAF s Nikkor 85mm f1.4との組み合わせはなんとも言葉に表し難い柔らかく優しい写りを見せてくれましたが、サブ機をオリンパスのOM-D E M1へと移行しました。既に古いモデルですが2万円強で購入できますし、初心者の方が初めて手にするには丁度よいカメラです。
MFT(マイクロフォーサーズ)と呼ばれるマウント(カメラとレンズを繋ぐ部分)は、小さく安価なレンズも数多く入手可能で、これからカメラに親しむにはうってつけです。
私はニコンの写りや操作性を好みますがオリンパスもニコンに似た部分を感じます。
この小さなオリンパスのボディーとレンズで先週の日曜日は子供らとラーメン屋さんで食事をした後で、千葉の海浜公園を散策しました。
このオリンパスMFTを使い始め、フルサイズのZ6でなくても散歩スナップは楽しめると知りましたが、オートフォーカス(自動合焦)が面白くないと常々考えており、古いレンズに食指が伸びました。いつもお世話になっているカメラマンの伴貞義さんの動画でも「オールドレンズを使うと何が楽しいのか」といったような動画もあり、それらを見るに連れオールドレンズを買うべきでは?と自問自答を繰り返しておりました。
思い切ってカメラのキタムラ上野マルイ店へ足を運び、幾つかレンズを手に入れました。そこにK&FコンセプトのKFM43(ニコンのFマウントからMFT)への変換アダプタも売っていたので一緒に購入。
ニコンのMFレンズ、つまり電子接点のない手動で合焦と絞りを調整するレンズです。これがマニュアルミッションの四輪車に載っているような、さらには古いバイクに乗っているような機械的感触と、一体感が心地よくこれが基本と言うか、私にはこれこそが、あるべきカメラとの付き合い方だと思い知りました。
仕事が終わり、夕方からまた上野にレンズを見に行こうかなどと考えつつオールドレンズを販売しているお店を探していると、なんと柏市内にカメラ工房を発見しました。
らくだカメラ工房さんです。当社からも近いので早速足を運ぶと、割りと新しい住宅街の一軒家。その一室を工房にして多くのカメラやレンズが並んでいました。
そこでニコンのオールドレンズを眺め、一本購入しました。
二輪車の旧車にそれほどの興味はありませんが、レンズに関しては強い関心をもちました。
これはきっと、バイクは2000年前後まで電子制御がエンジンの一部(点火系など)に限られており、基本的な機構がほぼ不変であったためキャブを備えた2000年くらいまでの車両が私にとってはオールドバイクに当てはまるからかも知れません。
私の所有する車両は基本的にキャブ車なので、今の基準からすると旧車です。その感覚が良い。しかし不思議なのはレンズに対しては古い操作性を求めるのに、カメラ側は最新のミラーレスに魅力を感じる点です。
D800のようなデジタル一眼レフは撮影体験として非常に有益で、あのレンズが動くショックもまた非常に心地よいものでした。
しかし操作系の自由度が高いZ系のほうが(この言い方もカワサキっぽくて混同しそうです)しっくり来るのはやはり微調整が可能だからか。
このあたりはアクセル、ブレーキ、クラッチ、シフトなどの遊びを微調整して自分に合わせ込む感覚で操作系を作り込んで行けるのがデジタル一眼レフよりも自由度の高い、現在主流のミラーレスの良さかも知れません。
オールドレンズの合焦や絞り調整は、まるでキャブレータ車のアクセルを開閉するかのようで、その似た感覚が面白い。
MFレンズは焦点を合わせる回転子が重く回ります。AFレンズを切り替えでMFにしてもその手応えは得られません。前者がFCRなどの直引きアクセルワイアだとすれば、後者はワイアを持たない電制アクセル(バイワイア)です。
このあたりの手応えも質感に大きく影響するはずなので、大きな魅力となり少なくない人を今でも惹き付けているのではあるまいか?とここまで書いて気付きました。
私自身もそこの魅力を感じている訳で、大きく外した推論では無いはずです。
一瞬を逃したくない、または仕事で枚数を多く撮る人には向いていません。逆に私のように撮影枚数がそれほど多くないし、被写体が待ってくれる(主に無機物)ような撮り方ならMFレンズが楽しめます。