細部を詰めて

 昨日作業を終えたTZM50用のYECです。

 今回、車高調整機能を追加するための依頼でしたが、組み終え改めて動きの良さを実感しました。この個体はピストンリングをYEC(YHS)の高価な品へと交換し、オイルシールをFGにしてあります。ガイドブッシュもいくつか選べる中から最良と考える品にしました。

 サスペンションシステムの中において、スプリングを含むダンパー系の主役は明らかにスプリングです。その選んだスプリングの効用を最大化するためにダンパーがあると思います。動かし方は減衰ですが、その前段階である作動性は材質、剛性等の役割です。

 オイルシールの収まる通称シールヘッド(シールホルダなど呼び方はいろいろです)は歩留まりを高めるため公差は意外に大きな数値です。具体的な値は秘密ですが、これを詰めてゆくとある点から摩擦抵抗が大幅にましますが、その直前が狙いどころです。

 有名メーカーの品でもシリンダーとシールヘッドの隙間はかなり大きく、スプリングを外した状態でロッドを円周方向に動かせば、そのガタは明瞭に感じ取れます。これを可能な限り詰め行き着く先は滑らかな作動性です。オイルシールもこの滑らかな作動性に大きく影響を及ぼします。

 ロッドにシールを通した状態で測定するのと、完成品として作動させるのでは、体感がかなり変わります。Xリングなどは締め代が小さく低抵抗なのですが、実際の使用においては締め代の大きなパッキン型か想像以上に艶のある動きを見せます。私見ではシールの材質がかなり重要です。
 これに加え、ヒロコーのオイルが気持ちよく絡まりスプリングを外した状態でダンパーを押し引きすると、なんとも言えない色気のある手触りです。他にもアッパマウントの焼き付けブッシュをドライベアリングに交換しステンレスカラーと組み合わせ直接的でスルスル動くようにしました。

 エア抜きの為にはバンジョーボルトをFGのステンレス製化粧ボルトへ交換してあります。外観も良いのですがエア抜きの質が向上します。

 改造の手法は多岐に渡ります。投入する費用に対し得られる効果が高いとは言えませんが、この改造でしか変えられないのも事実です。話だけでも聴きたいと言う方は、いつでも質問ください。

 

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