久保田早紀 異邦人

 異邦人と言えばカミュの小説かと思いますが、ずいぶん前の歌で久保田早紀さんの「異邦人」があります。

 この曲が好ましいと感じたので、コード進行を調べてみたところ、前半はFマイナー、クラシックならヘ短調からサビはFメジャー、クラシックならヘ長調へ転調していました。前半の情緒不安定な感じの曲調からサビの浮遊感を持たせた明るい雰囲気は、とても凄いと感じます。マイナーキーから転調する直前にFsus4という少し変わったコードを使い、転調の切っ掛けを作っているようです。FマイナーからDメジャーへ飛ばず、トニックノートをそのままにすることが、曲の根幹を作っているのかもしれません。あまり深く音楽理論を知りませんが、そのように思います。

 先日ラジオを聞いていたところ、渡辺美里さんの「マイ・レヴォリューション」のサビへ行く直前のコードは、小室哲哉さんはディミニッシュと呼ぶかなり不安定な響きのコードだったのを、編曲の方がsus4コードに変えたと聞きました。sus4とは、コードのキーを決定する3度の音を鳴らさず、その一度上の4度をならし調を不明瞭にしているコードです。C(ド)のコードならE(ミ)の一度上のF(ファ)になります。

 数年前にラジオで聞いた曲もマイナーからメジャーへ転調する曲があり、ついつい購入しました。スティングさんの曲を分析したことはありませんが、かなり手が込んでいると思います。八分の五拍子など変わったリズムもあり、引き込まれます。

 こう考えると、自分の曲の好みも知れるというもので、複雑な構成の曲に惚れてしいます。

 バイクや車に対する接し方も、現象に対し常に分析的だと自身を感じています。この辺りの感覚は音楽で養ったのかもしれません。ただ、その音楽と同様にバイクの腕も残念なレベルです。