キリコに美学あり
MR.Misterの名曲と言えばキリエですが、切削に付き物はキリコです。
良い仕上がりを求め、製品の寸法や表面をより厳しく見てゆくわけですが、いつの間にか出てくるキリコの美しさにも気が向くようになりました。
チップブレーカーの効き具合や、飛び方など条件により大きく変わりますが、基本的な学習をしていない私は実戦から学ぶしかありません。しかし、先人の経験に学ぶのも大切なので本を読んでいます。他には旋盤の師匠が二人いるため、眺めたり話を聴いたりしています。
外丸削りの際にキリコが飛び散るのは、工場が汚れる上に火傷もするためとても危険です。上手く条件が合うと、進行方向へクルクルとキリコが下へ落ちて行きます。これは綺麗で怪我もしないため、嬉しくなります。実際はそれで十分なのですが、せっかく出てくるキリコなら、出来るだけ狙った排出方法と綺麗な形状を望んでしまいます。
良いサスペンションを造るには、しっかりした下部構造が必要になります。インフラストラクチャーとスープラストラクチャーの関係です。機械的要素を下部構造と捉えれば、セッティングを含む調整が上部構造になります。キリコ一つからでもあれこれ考え、哲学と言うか美学が生まれる物だとしみじみ思いました。