MT-01試乗

 昨年の秋に預かり、今月部品が届いたのでMT-01の仕上げを進めておりました。

 詳しい車両の状態は写真をご覧いただければ、概ね理解いただけると思います。前後のブレーキキヤリパ。マスターシリンダ。ウィールなど改造は多岐にわたります。

 当社が依頼いただいたのは、オーリンズのリアショックO/Hと仕様変更。それにフロントフォークの大幅な改良です。インナーチューブはすでにコーティング済でしたので、主にオリンズのカートリッジキットFGRを組み込みリアとの相性を整える事でした。

 MT-01用にはFGRのキットは販売されておりません。そのため組み付けにあたり仕様変更を施してMTの寸法に合わせて改造を施しました。

 スプリングレートと減衰は一から手探りで作り込んだわけですが、その下地となったのは同じヤマハのFZ1フェザーです。3年前に同じFGRカートリッジキットで作り込んだ経験があり、おおよその方向性は決めてありました。
 それもあり、初回のベース作りから想定通りの良い仕上がりとなっています。試乗し微調整を進める中で十分な手応えを感じられ「このまま納車しても十分満足いただける」手応えを持てました。

 しかし、それは80点という及第点よりやや上の水準であり、今回は予算を潤沢に用意いただいており、時間と部品代をまだ費やせます。そういった事情もありフロントのバネ交換と減衰の仕様変更により95点を目指します。

 具体的には減速で強くブレーキをかけた際の沈み込み具合に不満を覚えます。その領域ではもっと減衰が立ち上がって欲しい。しかし1000回中に大きめのギャップを拾った際は「スル」っといなしたい。この両立を目指します。
 現状では大きめのギャップをスルッといなすものの、減衰の立ち上がりが弱い。この点を改良します。

 それにバネ定数は悪くないものの、トップアウトとの相性もありイニシャル量と沈み込みの量。そして定常走行時のフロントの高に微調整が必要です。チグハグと言う程ではないものの、ピタッと全てを同調させるには全ての材料(バネ定数、トップアウトの定数、イニシャル)が合わせ込めない感触なので、それを改善するには前述のパラメータを変化させる必要があります。それら変数の要素として主スプリング、トップアウト、イニシャル、それに減衰力の変更が必要となります。

 リアに関してはオーリンズが設定する160Nmのバネはそれほど酷い値ではありません。では何が問題なのかと言えば、イニシャル量(バネセット長)です。
 もっとイニシャルを抜きたいのに、最大にイニシャルを抜いても掛かり過ぎの印象です。あと5mm抜ければ調整代が十分に取れるので満足できる設定になりそうです。
 バネも用意してありますので、先ずはバネ系を決め、最後に減衰のセットを何度か詰めて行きたいと考えます。

 明日は動画で現状を話し、私自身も思考をまとめたいと思っています。来週は減衰設定の組み替えと実走でセットを詰めて行きます。

 納車してお客様が喜ぶ姿を想像すると、今から楽しみです。

 (写真は後日アップします)